ビジネスシーンで、相手に資料を提示する際「ご参考下さい」と伝えることがあります。
よく使われるフレーズですが、クライアントや上司など、目上の方に使って良いフレーズなのでしょうか。
この記事では、「ご参考ください」の正しい使い方や、マナーについて解説します。
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目次
きちんと知っておこう!「参考ください」の意味とは?
「参考ください」とは、「あなたの考えを決める手がかりにしてください」というニュアンスで使われます。
より丁寧な表現で「ご参考に」と使われることも多いフレーズです。
日常で使われる言葉として定着していますが、実は日本語として正しいか誤りか、賛否両論分かれている言葉です。
「参考」=「考えを決める手がかり」だとおさえておこう!
「参考ください」は「あなたの考えを決める手がかりにしてください」という意味で使われます。
相手にとってメリットのある情報や、資料を提示する際に使われる表現になります。
例えば部屋のカーテンを買い替えるとき、「おしゃれな雰囲気にしたい」となんとなく思っていたとします。
自分では具体的に、どのようなカーテンを選べばよいか悩んだとしましょう。
そんなときは、インテリア雑誌を見たり、Webでカーテンの画像を見たりしますよね。
その中から、自分のイメージにぴったりのものを選ぶはずです。
またはインテリアショップに足を運び、店員さんに質問したり、意見を求めたりするでしょう。
これが「参考」です。
「参考」は、考えを決める手がかりだけではなく、その人に役立ちそうなものも「参考」になります。
「参考ください」は、「考えを決める手がかりにしてください」と「役に立ててください」のふたつの意味を持っているのです。
間違えやすい!「参考ください」は敬語表現ではない
「参考ください」は「参考にしてください」を縮めた言い方です。
一見して丁寧な言い方だと思えますが、実は敬語ではありません。
敬語とは、相手を敬う気持ちを表現するときに、使われる言葉です。
参考にするかどうかは相手が決めることです。
「参考ください」は、「決定を相手に押し付けている」とも受け止められかねません。
これでは、相手を敬っているとはいえないでしょう。
「参考ください」は日本語として正しい?間違い?
「参考ください」は日本語としては間違いという意見と、正しいという意見があります。
間違いとする意見の根拠は、「参考」は名詞であって、「参考する」という動詞が存在しないからです。
文法として本来使うはずがない活用ではないから間違い、という考え方です。
正しいという意見は「参考」は名詞でありながら「~する」という表現を繋げられる言葉であることを、根拠に挙げています。
「参考する」という言い方は存在するという意見です。
「参考ください」という表現が、文法として誤りなのか正しいのかは一概にはいえません。
それ以上に大切なのは、実際に「参考下さい」と言われた時どう感じるかです。
「参考する」とは普段言わないため、違和感を覚える人は一定数いることでしょう。
ここがポイント!「参考ください」の正しい使い方と間違った使い方
「参考ください」は、相手にとってメリットのある資料や情報を提示する際に使う言葉です。
相手には参考にならないものを提示する際には使えません。
間違えて使いやすい言葉なので、注意しましょう。
正しく使って印象アップ!「参考ください」の正しい使い方
ビジネスシーンで使われる「参考下さい」は、会議や打ち合わせなどで資料を配布したり提示したりする時です。
その資料は、見る人にとって必ず有用であるため、「参考ください」の正しい使い方になります。
「参考」は資料でも情報でも、必ず相手にとって「何かしらの利益になるもの」であることが絶対条件です。
たとえば相手が「猫の絵を描きたい」と言っているとしましょう。
猫の写真を見せたり本物の猫を連れてきたりすることは、猫の絵を描くにあたって参考になります。
つまり、相手にとっての「利益」になっています。
イメージダウンにつながるかも!「参考ください」の誤った使い方
相手にメリットがないものを見せて、「参考ください」は間違った使い方です。
たとえば自分は猫の絵を描きたいのに、同僚や周りの人が「ご参考ください」と言って犬の写真を見せてきたとしましょう。
これは全く「参考」にはなりませんよね。
相手にとってメリットのないものは、「参考」にはなりえないのです。
ビジネスシーンでも、誰もがとっくに知っているデータや情報を見せて「ご参考ください」と使ってしまう人もいます。
おさらいや振り返りになるようなことを指して「ご参考ください」と言うのは誤りになります。
ビジネスシーンで言葉遣いを間違えると、イメージダウンにつながってしまいます。
また、相手を不快な気持ちにさせてしまう恐れもあるので、気を付けましょう。
間違えないよう要チェック!「参考ください」の例文をご紹介
ビジネスシーンにおける「参考ください」は、資料を使う会議や打ち合わせ、資料を添付するメール等でよく使われます。
また、コンピュータやシステムの操作方法を伝える際にも「参考ください」は使うことが出来ます。
場面別と対象別に分けて「参考下さい」の例文を紹介します。
この場面ではこう使う!「参考ください」の例文【場面別】
よくあるビジネスシーンを例に、場面別で「参考ください」の例文を複数紹介します。
誤った使い方をしないよう、今一度確認しておきましょう。
会議
- 「会議の資料を配布いたします。ご参考ください。」
- 「配布いたしました資料も併せてご参考くださいませ。」
「ご参考ください」は、その場にどのような立場の人がいるのかも把握してから使うようにしましょう。
大人数が集まる場では、どのような立場の人がいるか把握できないので、「ご参考ください」は使わないほうが無難です。
取引先との打ち合わせ
- 「この部分の根拠は11ページをご参考ください」
- 「当社の基本スタンスは、こちらのURLをご参考ください。」
後述のもっと丁寧な表現や言い換え・類似表現を使う方が無難でしょう。
相手に不快な思いをさせないことが、ビジネスシーンでは、最も重要です。
特にクライアントなど、社外の相手には細心の注意が必要です。
ビジネスメール
- 「登録方法を記載しますのでご参考ください。」
- 「操作方法については、こちらのページで説明いたしますので、よろしければご参考ください。」
「よろしければ」という一言を「ご参考ください」の前に添えれば、丁寧なイメージになります。
親しい上司であれば使っても問題ないでしょう。
メールは言葉のみのやり取りになります。
マイナスイメージを持たれないよう、細心の注意が必要です。
柔らかな印象になる、クッション言葉などを使って、丁寧に伝えましょう。
この相手にはこう使う!「参考ください」の例文【対象別】
対象別での「参考ください」の例文を紹介します。
「参考ください」は、使う相手が限られる言葉です。
間違えないようにしましょう。
同僚・部下
- 「サンプルをご参考ください。」
- 「○○というシステムのようなものを作りたいと思います。○○をご参考ください。」
ビジネスで「参考ください」は原則上司等の目上の方へは使えません。
同僚同士や部下との話し合いに留めた方が無難でしょう。
間違って、クライアントや上司に使わないよう、気を付けてください。
お客様
- 「詳細につきましては、当社のホームページをご参考ください。」
広告やダイレクトメール等でよく見られる表現です。
お客様も敬意を払うべき対象のため、「参考ください」はあまり適切な表現とはいえません。
後述で解説する「ご参照ください」等の丁寧な表現にした方がベターです。
覚えておいて損はナシ!「参考ください」の類似表現と言い換え表現
「参考ください」の類似表現や言い換え表現として「参照」「高覧」「ご覧になってください」等さまざまな言い方があります。
中でも「ご参照ください」等は目上の人にも使える、表現になります。
ただし、「参考ください」と若干ニュアンスが異なるフレーズもあるので、注意しましょう。
ニュアンスの違いに要注意!「参考ください」の類似表現
「参考ください」の類似表現を紹介します。
「参考ください」と若干ニュアンスが変わるため、違いと例文も併せて説明します。
ご参照ください
「参考ください」の類似表現としてよく使われるのが「ご参照ください」です。
「参照」とは「照らし合わせて確認する」という意味で、情報を確認するという意味合いがあります。
「参考」と若干ニュアンスが異なりますが、目上の方に対しても使える丁寧な表現です。
- 「添付資料をご参照くださいますようお願いいたします。」
「ご参照ください」はビジネスメール等の文面で使われることが多いフレーズです。
ビジネスシーンでは、言い換えた方が適切な場面が多いでしょう。
ご一読ください
「ご一読ください」とは「簡単に読んでおいてください」という意味の、少しカジュアルな印象の表現です。
「参考ください」は文章だけでなく映像や画像等目で見るものにも使えますが、「ご一読ください」は文章にのみ使える表現です。
- 「こちらも良かったら、ご一読くださいませ。」
「ご一読ください」は、カジュアルな印象のある言葉です。
目上の方に使うのは控えた方が良いでしょう。
「参考ください」を言い換えするなら、この表現
「参考ください」の言い換え表現を例文も交えて紹介します。
ご覧ください
「見る」の尊敬語「ご覧になる」を使った敬語です。
「参考ください」の言い換え表現ですが、尊敬語なので文法的には上司やクライアント等目上の人に対して使う言葉になります。
- 「どうぞお手元の資料をご覧ください。」
メールの文面では「ご参照ください」を使いますが、口頭では「ご覧ください」の方が多く使われます。
状況で言い換えできると、スマートな印象になります。
ご高覧ください
「ご高覧」とは「ご覧になる」を更に丁寧にしたフレーズです。
意味は「ご覧ください」とほぼ同じですが、相手が目上の方でも、近しい上司に対しては丁寧すぎる場合があります。
最上級の目上の方(社長等)やクライアントのみ使うのが良いでしょう。
- 「お配りいたしました冊子に一覧がございますので、そちらの方をご高覧くださいませ。」
「ご高覧ください」も使い方は「ご覧ください」と変わりありません。
見てください
尊敬語を外した「見てください」という表現も、「参考ください」の言い換え表現になります。
「見る」という言葉がそのまま使われていてかなりストレートな表現です。
ビジネスシーンでは、部下との会話に使う程度にした方が良いでしょう。
- 「○○について見ておいてください。」
「見てください」は様々な意味合いで使われる言葉です。
「参考ください」の言い換えだと、とらえてもらえない可能性も高いので、補う言葉をプラスしましょう。
何をしてほしいのか、明確に伝える必要があります。
「参考ください」は、英語ではこう伝えよう!
ビジネスシーンでは、英語で伝えたり、英語でやり取りすることも多いでしょう。
そのようなとき、「参考ください」は、英語でどう表現すればよいのでしょうか。
英語で「参考ください」を伝えられるフレーズをご紹介します。
英語ではこう伝えよう!
英語で「参考ください」というニュアンスを伝えたいときには、「for your information 」でOKです。
「for your reference」でも、「参考ください」と同じニュアンスを伝えられます。
英語には敬語はありませんから、どちらかのフレーズを使えば、「参考ください」に似たニュアンスを伝えられます。
覚えておくと便利な言葉なので、覚えておきましょう。
メールなどではこれでもOK!
メールなど、文字で伝えるときは、「FYI」と略しても伝わります。
「for your information 」の頭文字である「FYI」は、よく使われるフレーズなので、覚えておくと便利です。
伝えたい内容の前に、「FYI」をつけましょう。
英語には敬語がない!だからこそより丁寧に
英語には、日本語のように敬語がありません。
だからこそ、相手を敬う気持ちを忘れずに言葉を選ぶことも大切です。
お互い気持ちよくコミュニケーションを図るには、お互いを尊重する気持ちが大切です。
特にビジネスシーンでは、お互いを尊重しあうことが大切なのです。
「参考ください」をビジネスシーンで使う時にはこうしよう!
「参考ください」はあまり丁寧なイメージではないため、ビジネス向きの言葉ではありません。
「参考ください」のまま使うよりも「ご参考にしてください」などに言い換えた方が適切でしょう。
うっかり使ってしまわないように!「参考ください」のまま使わないのが無難
「参考ください」は言葉の響きからでも少し不自然な表現です。
ビジネスシーンでは、「参考ください」のまま使わない方が良いでしょう。
「参考ください」は「参考にしてください」を縮めた言い方です。
だからといって「ご参考にしてください」と言うのも好まれません。
「して」という表現は相手に敬意を払っていないからです。
「ご参考になさってください」も不適切です。
「参考」にするのは相手であり、相手が参考にするかどうかを決めます。
「参考になさってください」は「自分の出したものを参考にしろ」という押しつけがましいイメージを持たれかねません。
目上の相手にはこう使おう「参考ください」の表現
目上の方にもOKな、「参考」を使う丁寧なフレーズ表現は存在します。
ビジネスシーンで「参考ください」を使う場合は、次のような表現にすれば、印象もよくなるでしょう。
ご参考になれば幸いです
「幸いです」という言い方は、相手を敬うとても丁寧な表現の典型です。
「ご参考になれば」と言い換えることで、押しつけがましいイメージはなくなります。
ご参考にしていただければ幸いです
こちらも「幸いです」と「ご参考いただければ」をミックスした表現です。
「参考にしてもられば嬉しい」というニュアンスを含むフレーズになります。
お願いよりもかなり柔らかな印象のフレーズで、目上の方やクライアントにも取引先に使えます。
敬語のマナーとして、目上の方ににお願いしたい場合は、柔らかめの表現を使うのが良いとされています。
「参考ください」を目上の人へ使うのは誤り?
丁寧な表現を加えず「参考ください」のままで目上の方に対して使うのは誤りになります。
使うときは必ず、丁寧な言葉を添えましょう。
自分の意見を押しつけるようなニュアンスになってしまうことから、使う相手は同僚や部下のみにするのが無難です。
気を付けよう!目上の相手に「参考ください」はNG!?
上司を含め、目上の方に「参考ください」を使うのは間違いです。
毎日会話している等である程度親しい関係なら、会話やメールで使うくらいなら問題はないでしょう。
しかし、会議や打合せ等のきちんとした場面では使うべきではありません。
ついうっかり使ってしまわないよう、普段から心がけましょう。
「参考ください」は相手に押し付けていると思われる!?
「参考ください」は、相手に命令しているような、押しつけがましいイメージを持たれかねません。
目上の方に命令形と受け止められかねない言葉を使うのは、マナー違反ですよね。
その点を考えても、目上の人に「参考ください」を使うのは避けるべきです。
できるビジネスパーソンを目指すなら、正しい敬語を使おう!
ビジネスシーンでは、「ご参考ください」そのものはマナーとしてあまり良くありません。
ご紹介した、言い換えなどを使いましょう。
言葉は常に変化し続けるものです。
以前は誤りだった表現も、今では正しいとされている表現も多々あります。
ビジネスシーンでは、常に正しい言葉遣いが求められます。
正しい言葉遣いを知り、最良のビジネススキルを身に着けましょう。