何かを見た時や誰かを見た時「感慨深い」と言うことがあります。
職場でも日常でもよく使われますが「感動」とは意味が違うのでしょうか。
また「考え深い」とは混同していないでしょうか。
この記事では「感慨深い」の正しい意味や使い方、「考え深い」との違いを解説します。
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目次
「感慨深い」の意味は?
「感慨深い」は日常でよく使われる気持ちを表す言葉です。
故に意味を考えたことがある人はそれほど多くはないのではないでしょうか。
何となく「感動」と同じ意味だろうと捉えている人もいるかもしれません。
たしかに「感動」は「感慨深い」の類語の一つですが、意味合いが違います。
「感動」は使えても「感慨深い」は使えない場合などもありますので、一度「感慨深い」の意味を確かめてみましょう。
「感慨深い」は「感動」よりも更に深く心が動いた様を表す言葉
「感慨深い」は「感慨の度合いが強い様」を意味しています。
では、「感慨」はどういった意味なのかというと、それは「深く(心に)響く」という意味です。
結局「感動」と同じではないかと思われそうですが、「感慨深い」と「感動」は厳密には気持ちと意味合いが違う言葉です。
「感慨深い」は「過去のことを思い出してしみじみする気持ち(懐かしむ)」というニュアンスがあります。
一方の「感動」は「この瞬間目にしたものに対して深く感じる気持ち」という意味合いが含まれています。
つまり「感慨深い」は「過去のこと」に対して思いを馳せる言葉であり、「感動」には過去の思い出という要素は含みません。
また「感慨深い」は「深い」と強調された言葉がついています。
よって「感動」よりも更に深く心を揺さぶられたという意味合いもあります。
「感慨深い」と「感動」は類語ですが意味も使い方も微妙に違うものなので使う場面に気をつけましょう。
「感慨深い」は二重表現ではない
「感慨」にも「しみじみする気持ち」という意味があります。
そのため、更に「深い」という強調をつけた「感慨深い」は重語なのでは、と指摘する人も中にはいます。
しかしながら、この言葉は二重表現とは言えません。
理由としては「感慨」そのものに「深さ」を示す意味がないからです。
「深く感じる」気持ちというのはあくまでニュアンスをわかりやすく表したものであり、「感慨」の意味とは少し違っているのです。
よって「感慨深い」は間違った日本語ではないかと悩む必要はありません。
それに「感慨がある」よりも「感慨深い」と強調した言葉をつける方が、より「心に感じていますよ」という思いを伝えられます。
「感慨深い」の使い方
意味をあまり考えたことがないように、「感慨深い」の正しい使い方をしっかり考える人も少ないかもしれません。
ですが、正しい使い方をしないと相手に誤解されたり悪い印象を与えたりしてしまいます。
うまく気持ちを表現できない不自然な文になることもあるでしょう。
「感慨深い」は「しみじみと何かを思い出した」という懐かしむ気持ちを表した意味の言葉です。
そのため、必然的に「あるものを見て何かを思い出す」というシチュエーションで使われます。
この機会に「感慨深い」の正しい使い方を考えてみましょう。
「感慨深い」は「何かを思い出した」時に使う言葉
意味の説明で、「感慨深い」は「過去に思いを馳せる言葉」だと説明しました。
そのため、「感慨深い」も「対象を見ることであることを思い出す」場合で使われます。
記憶を呼び起こす対象は人でも物でも、形のないモノでも構いません。
具体的には、中学校や高校の卒業式で「三年前の入学式を思い出すと感慨深いです」という例が挙げられます。
「卒業式」とはその場所を旅立つ儀礼です。
その時、その場所に初めてやってきた「入学式」という儀礼を思い出して、しみじみと懐かしい気持ちになることがあるでしょう。
その気持ちが「感慨深い」なのです。
他にも結婚式で「まだ赤ん坊だった頃のことを思うと感慨深いよ」という使い方もよくされます。
あんなに小さかった赤ちゃんが、年月を経て誰かと結ばれることを喜ばしくも深く思う、という気持ちが表現されています。
このように「感慨深い」の使い方には、必ず「過去の思い出」がついてくるのです。
「感慨深い人」という使い方はダメ!
「感慨深い」の間違った使い方としてよくあるのが「感慨深い人」というものです。
「感慨深い」とは今感じている心情や気持ちを表す言葉なので、人柄や内面を示す意味合いまでは持っていません。
よって「感慨深い人」という使い方は誤用なので注意しましょう。
「感慨深い」の例文
意味と使い方が知識として分かってきたところで、もっと具体的な「感慨深い」の例文を用いて考えてみましょう。
「感慨深い」は使い方の項で紹介したように、卒業式や結婚式のスピーチ等でよく使われます。
とはいっても、使う機会がその時に多いだけで「感慨深い」自体は使い方さえ正しければどの場面でも使えます。
非日常の儀式から日常や職場のふとした時でも使える例文を見てみましょう。
「感慨深い」の例文【対象別】
- 初めてここに来た時のあなたのことを思い出すと感慨深いです。
- 君が入社した時はおっとりしていて頼りなかったのに。あの時のことを思うと感慨深いよ。
- 母は生前の父のことを感慨深げに話していた。
上二つの例文は会話をしている相手、三つ目の例文は第三者を対象にしたものです。
相手や他の誰かについての思い出話をする時に、「あの時はこうだったな」と思い出しながら語るのを「感慨深げに話す」と言います。
「感慨深い」の使い方の一つですね。
「昔はまだまだひよっこだったのに、今はこんなに立派になって」と喜んだり懐かしく思ったりするのが「感慨深い」気持ちと言えます。
詳しくどんな気持ちなのかというのを言葉で説明するのはとても難しいです。
しかし、「しみじみとした気持ち」は誰もが無意識に認識している感覚でしょう。
「感慨深い」の例文【場面別】
- この小説のプロットを練っていた時のことを思うと、感慨深いものがある。
- 今日から娘はあの人の妻になると思うと感慨深いな。
- 前にお買い物でその店に行ったら、懐かしい曲が流れてきて感慨深かったよ。
- やっとこの本を出す日がやってこられて、とても感慨深い。
「感慨深い」は卒業式や結婚式だけでなく、何かを完成させたり発表したりする場面でも使うことができます。
そのため、芸術作品や文学作品のような自分が作った作品に対しても「感慨深い」は使えます。
「感慨深い」で思い出す過去の出来事とは「苦労していたこと」が前提です。
子育てやプロジェクトの完了、作品の完成というのは必ず辛いことや苦しいことがつきものでしょう。
苦労や大変なことがあったからこそ身にしみて感じるものがあるのです。
「感慨深い」の類語
「感慨深い」の類語には、意味の項で紹介した「感動」の他に「懐かしむ」等様々な言葉があります。
数が多いためすべての類語を紹介することはできませんが、今回は特に意味の近い類語を解説します。
「感慨深い」の類語は「感動」「懐かしむ」等
「感慨深い」の類語に上げられる言葉は「感動」や「懐かしむ」等があります。
類語とは意味が似ている言葉であり、まったく同じ使い方が出来るとは限りません。
これから紹介する「感慨深い」の類語も多少意味が違うところがありますので、使い方に気をつけましょう。
「感動」
- この映画を見て感動しました。
「感動」は「『感慨深い』の意味」でも紹介したように、非常によく使われる気持ちを表す言葉です。
「(心に)深く響く様」という意味で、類語の中でも「感慨深い」にかなり近い言葉でしょう。
ただし、「感動」には「過去のことを思い出してしみじみする」という意味はありません。
「映画を見て感動した」「景色を見て感動した」のような「その場で見たものによって心深く感じた」時に使う言葉です。
逆に「感慨深い」と同じ使い方をした「入学した時のことを思うと感動です」という文はどことなく不自然で、変に感じるでしょう。
「懐かしむ」
- あの曲を聞いて子供の頃を懐かしむ
「懐かしむ」はその言葉の通り「過去のことを思い出す」という意味の類語です。
「しみじみする」という意味合いもありますが、「心に深く感じている」かどうかはまた別です。
「懐かしむ」という言葉自体も本来は行動を表すものであり、気持ちの面はニュアンス程度にしか含まれていません。
「感動している」という気持ちの面を強調したいのなら「感慨深い」を使いましょう。
「昔を思い出す」という行動を強めたいのなら「懐かしむ」といったように、使い分けるのがベストでしょう。
それぞれに合った使い方をすることで表現の幅も広がります。
「感慨深い」の類語まとめ
- 感動:その時みたものから心に深く感じる
- 懐かしむ:過去のことを思い出す
- 感極まる:感動が極地に達すること
- 琴線に触れる:心情が深く刺激すること
- 余韻がある:その物事が終わっても名残が残っている様
詳しく紹介したもの以外にも「感慨深い」の類語と意味を簡単にまとめました。
いずれも心に響く様を表現した言葉ですが、「感慨深い」とはやはり違うものがあります。
同じ使い方は出来ないので、使う場面に気をつけましょう。
逆に同じ使い方ができないということは「感慨深い」が使えない場合でも、類語であれば使えるということを意味します。
「感慨深い」が使えなくても、これらの類語を使うことで自分の気持ちを表現できるでしょう。
「感慨深い」と「考え深い」の違い
「感慨深い」は読み方が似ている「考え深い」と混同されることがしばしばあります。
「感慨」と「考え」は全く違う意味の言葉ですが、どうなのでしょうか。
確かに、「早々」と「草々」のように読み方が同じで、似ているため同じ使い方をされるものもありますよね。
そこで次は、「考え深い」の場合はどうなのかを解説します。
「感慨深い」と「考え深い」は意味も使い方も違う言葉
- 彼は考え深い目つきで歩いていた。
- あの人は考え深い人だ。
- こんな見方があるのかと、何とも考え深い講演だった。
- これは考え深い論文を作ってきましたね。
- 昨日、課長は考え深い様子で過ごしていたの。
まずしっかりと把握しておかなければならないこととして、「感慨深い」と「考え深い」はまるっきり異なる言葉です。
無論、意味も使い方も異なります。
「考え深い」とは「考えが深い」や「しっかりと考慮されている」という意味の言葉なのです。
「考え深すぎる」という意味で使う場合がありますが、どちらかというと良い意味で使われる方が多いですね。
気持ちは気持ちでも「心に感じる」という感情はなく、「注意深く考えをめぐらせた」のが「考え深い」です。
また、使い方で紹介したように「感慨深い人」とは使えませんが「考え深い人」なら使えます。
このように「感慨深い」と「考え深い」は全く異なるものを指しているため、混同しないようにしましょう。
「考え深い」の類語
- 熟語:よく考えること
- 思慮深い:物事を注意深く考えること
- 注意深い:物事に対して慎重で、注意する度合いが強いこと
「考え深い」の類語も当然「感慨深い」とは異なります。
いずれの類語も「考え深い」とニュアンスもかなり似ている言葉で、近い使い方も出来るでしょう。
使い方に注意したいのが「注意深い」で、時折ネガティブな言葉として使われることもあります。
思わぬ意味で相手に伝わってしまい、誤解からトラブルに発展することもないとは言い切れません。
そのため、使う場面や文脈には気を払いましょう。
「感慨深い」と「考え深い」の意味の違い
- 感慨深い:過去を思い起こして、心に深く感じる気持ち
- 考え深い:深く考える しっかりと考慮する
「感慨深い」と「考え深い」の意味の違いをまとめました。
読み方が似ているからといって必ずしも同じ意味や使い方であるとは限りません。
混同して使うと不自然な文章になってしまうだけでなく、思わぬ誤解を生みかねないのできちんと分けて使いましょう。
「感慨」の「深い」以外の使い方
ここまで「感慨深い」の意味や類語について説明してきましたが、ここからは番外編です。
「感慨」という言葉は「深い」以外でも使えます。
ここでは「感慨」を使った言葉を一部紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「感慨にふける」
「感慨にふける」は、昔のことを思い出してしみじみとした気持ちに没頭している様子です。
「ふける」は「物思いにふける」にも使われますよね。
それに似ていて、「感慨にふける」は他のことを考えず、没頭している様子です。
「感慨深い」よりも、集中してしみじみとした気持ちになっている時に使います。
「感慨に浸る」
「感慨に浸る」は、昔のことを思い出してしみじみとした気持ちに没頭している様子です。
意味は「感慨にふける」と同じですね。
しみじみとした気持ちに深く入り込んでいる様子を表します。
「感慨を込める」
「感慨を込める」は、しみじみとした気持ちを何かに持たせることです。
ものや行動に感慨を投影させています。
「感慨を込めた手紙」といったように使われます。
「感慨無量」
「感慨無量」は、しみじみした気持ちで胸がいっぱいになることです。
略して「感無量」と使われることもあります。
こちらの方が、馴染みがあるかもしれませんね。
昔を思い出して心を揺さぶられるのが「感慨深い」
今回は「感慨深い」の意味や使い方について紹介しました。
人生の節目となる通過儀礼や、何かのイベントでよく使われる言葉ですがそうでなくても使うことが出来ます。
何かを思い出し、そのことが胸に来るものであるのなら、それは「感慨深い」という気持ちなのです。
「感慨深い」とそのままとってかわるような類語はありませんが、「心に感じる」様を表した言葉は意外と多いです。
「感慨深い」は「過去のことを思い起こす」という制約がついています。
そのため、時と場合によってはその制約がない言葉を使うのも良いでしょう。
また「感慨深い」と「考え深い」も混同しないようにしなくてはなりません。
どちらも良い意味で使える言葉なので、意味の違いをしっかりと把握して正しい使い方が出来るようになりましょう。