「承知しました」と「承知いたしました」
この2つに、使い方や表現の違いはあるのでしょうか?
この記事では、ビジネスマンでも間違えやすい「承知しました」の使い方を例文を交えて解説していきます。
マイナビ転職 |
(5.0) |
- 幅広い職種で採用を成功実績あり!
- スカウトサービス機能がとっても便利!
doda |
(4.0) |
- IT・エンジニア系・技術系の求人情報が多い
- 転職サイトと転職エージェント両方のサービスを受けることが出来る
リクナビNEXT |
(3.0) |
- 掲載企業数3年連続No.1
- 多くの求職者から最適な⼈材を集める、求⼈広告型の採⽤⽀援サービス
目次
「承知しました」「承知いたしました」の意味
ビジネスシーンで多く使われるこれらの言葉ですが、正確に使えていますか?
正しい表現を身につけて、「出来る」ビジネスマンになりましょう!
まずは、言葉の意味を抑えていきましょう。
「承知」の意味
「承知」という言葉そのものは敬語ではありません。
しかし「承」の字が含まれています。
「承る」は謙譲語ですから、「承知」という語は謙譲の表現と実際には認識されています。
謙譲とは自分を低くすることで、相対的に目上の人を立てる表現です。
ビジネスにおける「承知」の意味
「承知」という言葉にはいくつかの意味がありますが、ビジネシシーンにおいては「依頼・要求などを聞き入れること」の意味で使われています。
「承知」は、上司からの指示や目上の人からの依頼を、単純に「聞いた。理解した」というだけでなく、それを引き受ける、承諾するという意味合いも含んでいます。
相手の要望している内容や、関連する条件などの情報をすべて把握しないうちに「承知しました」と言ってしまうと、先方に「こちらの要望どおりにしてくれるのか」と誤解させてしまうリスクがあります。
あとで「そういうつもりではありませんでした」と失礼を謝ったとしても、軽はずみな発言をする人物だという印象を残すことになってしまいます。
トラブルのもとになりますから、反射的に「承知しました」を言ってしまわないように十分注意しましょう。
「承知いたしました」の意味をきちんと理解出来ていますか?その上で、「承知いたしました」を適切に使用できていますか? ビジネスシーン、目上の方とのやり取りで役立つ、間違わない「承知いたしました」の意味と使い方をご紹介いたします。
「承知しました」と「承知いたしました」の違い・使い分け
次に「承知しました」と「承知いたしました」の違いを見ていきましょう。
敬語としては別物です
「承知しました」の「しました」は、「する」の丁寧表現である「します」を過去形にしたものです。
一方の「承知いたしました」の「いたしました」は、「する」の謙譲表現である「いたす」と丁寧表現である「ます」の過去形が合わさったものです。
「謙譲語+丁寧語」という組み合わせは、敬語としては最高クラスといえるため、「承知いたしました」は目上の人に対して用いる敬語表現にふさわしいといえます。
つまり「承知しました」よりも「承知いたしました」が、よりいっそう丁寧な使い方の言い回しになります。
「承知いたしました」二重敬語ではない
「承知いたしました」は敬語として最高クラスと説明しました。
ここで、「それって二重敬語になるのでは?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。
ビジネスの場において、敬語を意識し過ぎるあまり、二重敬語になってしまうことには注意が必要です。
「承知いたしました」の場合は冒頭で説明したとおり、「承知」そのものは敬語ではありませんから、文法的に二重敬語とはなりません。
相手の立場による使い分け
「承知しました」も「承知いたしました」も敬語表現でありますが、「承知いたしました」はよりいっそう丁寧な敬語になります。
ですから職場のなかでも、普段から接している先輩や直属の上司に対しては「承知しました」、もっと上の役員クラスとか失礼があってはならない上司には「承知いたしました」、とすることが失礼のない使い分けといえます。
また取引相手やお客様に対しては失礼のないよう、より丁寧な「承知いたしました」を使うようにしましょう。
ツールによる使い分け
会話においては「承知しました」の方が使う頻度が多いかと思います。
しかし、ビジネス文書では、よりかしこまった表現をすることが一般的なので「承知いたしました」を用いましょう。
ビジネス敬語では、尊敬語や丁寧語よりも謙譲語が好まれる傾向にあります。
したがって謙譲表現である「いたす」を含む「承知いたしました」がベターな表現となります。
取引先やお得意様など、社外の人との文書やメールでは「承知いたしました」を使い、社内メールでは「承知しました」と使い分けると賢明です。
「承知しました」「承知する」の意味と使い方、「了解しました」との違いや意味を解説していきます。承知しましたは敬語なのか? ビジネスシーンでのお客様、上司、先輩など目上の人に対して失礼のない「承知しました」「承知する」の適切な言い方なのか確認していきましょう。
「承知しました」「承知いたしました」の使い方
実際にビジネスの場における「承知しました」や「承知いたしました」の使い方を説明していきます。
「承知しました」の基本的な使い方
あなたの直属の上司なり先輩が、何か仕事を頼んできた場面を想定してみましょう。
これから出張に出かける上司があなたに、「さっき話した件、外出中のみんなにも伝えておいてくれ」と口頭で頼んできました。
その場合は「承知しました。伝えておきます」と返事をします。
上司が出張先から「明日までに○○の資料を集めておいてくれ」とメールで頼んできました。
その場合は「お疲れ様です。ご依頼いただきました○○の資料の件、承知いたしました。明日までに準備しておきます。」のように返信します。
「承知いたしました」か「承知致しました」か
ここまでの説明では、「承知致しました」ではなく「承知いたしました」と書いてきました。
あれ?自分はメールにいつも漢字で「致しました」と書いているぞ、という人もいらっしゃることでしょう。
実は「いたします」と「致します」の正しい使い方は決まっています。
- いたします:補助動詞として使う場合
- 致します:単独動詞として使う場合
主語「私が」のあとにすぐ「いたします」となっているため、この「いたします」は単独動詞です。
そのため、「それは私が致します」と漢字表記ができます。
「承知いたしました」の場合は、補助動詞として使っていますので、ひらがな表記が正しい使い方になります。
ちなみに「ください」と「下さい」、「いただく」と「頂く」も同じルールになります。
例文としては「どうかご承知おきください」「どうかご承知おきいただきたくお願い申し上げます」のように使います。
相手に「承知」してほしい場合
「承知しました」と言う場合、その「承知したのは誰か?」といえば自分です。
また「承知いたしました」は謙譲表現ですから、自分が承知した場合にしか使うことができません。
では、相手に「承知してください」と失礼のない表現でお願いする場合はどうすればよいのでしょう。
その際は「承知」そのものを言い換える必要があります。
例文としては、口頭であれば「どうかご理解いただけませんでしょうか」、文書であれば「何卒ご理解賜りたくお願い申し上げます」などとします。
理解できない場合
最初の章で「承知」の意味は、単純に「聞いた」「理解した」というだけでなく、それを「引き受ける」「承諾する」という意味合いも含んでいると説明しました。
したがって、理解もまだできていない段階で「承知しました」とは言えません。
そのようなケースでは「私の理解が追いついておらず申し訳ございません」とお詫びすれば失礼にはなりません。
また、相手も自分もお互いに承知していることを話題にする場合は「ご承知の通り」と接頭辞「ご」をつけます。
「ご承知」は尊敬表現になりますので、目上の人に対しても使えます。
「承知しました」「承知いたしました」の例文【ビジネス・メール】
それでは実際のビジネスシーンをあれこれと想定した、「承知しました」「承知いたしました」の例文を、口頭とメールとに分けて列挙してみましょう。
「承知しました」「承知いたしました」の例文【ビジネス編】
- 11時に第1会議室ですね。承知しました。(社内)
- 承知しました。データをもう一度確認したうえで再度提出します。(上司)
- 承知しました。担当の○○に、そのように申し伝えます。(電話)
- 承知いたしました。週明けの月曜日には見積書を提出いたします。(取引先)
- 承知いたしました。それでは明後日水曜日の14時にそちらにお伺いします。(お得意先)
- 承知いたしました。本日はお忙しいところ誠にありがとうございました。(訪問先)
「承知しました」「承知いたしました」の例文【メール編】
- いつもお世話になっております。○○商事(自分の名前)です。昨日ご注文いただきました▲▲の数量追加の件、承知いたしました。(お得意先)
- お疲れさまです。(自分の名前)です。連絡文書訂正の件、承知しました。再度プリントアウトのうえ、各部門に連絡しておきます。(上司)
- 配送先の住所変更の件、承知いたしました。来月分からは新しいご住所に配送させていただきます。これからも変わらぬお引き立てをよろしくお願い申し上げます。(お客様)
「承知しました」「承知いたしました」と「了解しました」の違い・使い分け
ビジネス敬語の難しさのひとつが、類語とその使い方です。
「承知しました」と混同しやすい類語が「了解しました」です。
「承知しました」との意味の違いや使い方の注意などに触れておきます。
類語「了解」の意味
承知は「事情を知っている」というニュアンスですが、類語の了解は「相手の話した内容を理解し、それを認める」ところまでをニュアンスに含みます。
また「承知」は「承」の字を含むので謙譲の表現と実際には認識されていますが、「了解」そのものは敬語ではありません。
「了解しました」「了解いたしました」
「了解しました」の「しました」も、「する」の丁寧表現である「します」を過去形にしたものです。
丁寧な言葉遣いではありますが、敬語のレベルとしては高くはありません。
「了解いたしました」の「いたしました」も、「する」の謙譲表現である「いたす」と丁寧表現である「ます」の過去形が合わさったものです。
ですから本来は「了解いたしました」も目上の人に失礼のない敬語表現ではあります。
目上に失礼な「了解」
20世紀に出版されたビジネスマナーの書籍では、メールの返信などに「了解しました」を使うように推奨していました。
ところがここ十年ほどの間に、世の中の認識が変わってきました。
ビジネスマナー本だけでなく、テレビ番組でも「了解は失礼な表現である」と解説されるようになったのです。
今では「了解いたしました」について「目下に対して使う言葉」と断言しているサイトも多数あります。
そのような認識を持っている人が一定数いるので、「承知いたしました」を「了解いたしました」に置き換えて目上の人や社外の人に対して使うことは非常にリスキーといえます。
「了解いたしました」は謙譲表現だから、目上の人に使用しても問題にはならないという主張に合理性はありますが、優先事項は文法的に正しいかどうかではなく、相手がどう感じるかなのです。
「了解しました」の例文
会話やメールの相手が自分よりも目下の人物であるという前提で例文を挙げてみます。
- 下記の件、了解しました。どうかお気をつけて。
- ○○会議は明日の14時ではなく15時開始ですね。了解しました。
「承知しました」「承知いたしました」の類語・言い換え表現
「承知しました」「承知いたしました」の類語は「了解しました」だけではありません。
ビジネスシーンで「承知しました」と言い換えの効く類語をいくつか紹介しておきます。
かしこまりました
「わかりました」と相手に伝えたいときの敬語表現に「かしこまりました」があります。
「畏まる(かしこまる)」という言葉には、「命令や依頼を謹んで承る」という強い謙譲のニュアンスが含まれています。
したがって「かしこまりました」は大事なお客様や、役職が上位の目上の人に対しても使える敬語表現になります。
格の高いホテルやレストランでは、スタッフが「かしこまりました」を実際によく使っていますが、それは「かしこまりました」がいちばん失礼のない無難な表現だからです。
だからといって、誰に対しても「かしこまりました」で統一するのも考え物です。
親しい同僚や、付き合いの長い相手に「かしこまりました」を使うと、よそよそしい印象を与えかねません。
了承しました
「了承しました」「了承いたしました」は、承諾した旨を相手に伝える敬語表現です。
「それでいいですよ」というニュアンスですから、目上の人から目下の人に用います。
社外の人や上司に対して「了承しました」「了承いたしました」としないよう、使い方に留意してください。
承諾した旨を相手に伝える敬語表現として、お客様に対しては「承りました」を、目上の人に対しては「承知いたしました」を用います。
「承知しました」の実践
「承知しました」と「承知いたしました」について、メールの例文や類語、言い換え表現なども取り上げながらご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
「承知しました」や「承知いたしました」の、フレーズのニュアンスの違いや使い方を理解できたら、実際に使ってみることが何よりです。
そうすることで、ビジネス敬語に対する理解度をさらに高めていけます.
ぜひ実践してみましょう。