「平素」という言葉を聞いたことある方はいるでしょう。
では、実際に使たことのある方はいますか?
この記事では、「平素」の意味や使い方を例文を交えて解説していきます。
ビジネスの場では、何かと便利な表現なので、使い方をマスターして使えるようになりましょう!
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目次
「平素」の意味・読み方とは?
「平素」の読み方は「へいそ」です。
意味は「つねひごろ」、「普段(ふだん)」、「平生(へいぜい)」などです。
「平素」には動詞や形容詞を修飾する副詞的な用い方もあります。
「平素の行動」、「平素は静かな場所です」のように使います。
「平素」の使い方【ビジネス/手紙】
「平素」は名詞ですが、格助詞である「より」「は」、接続助詞である「から」などを伴って「平素より」、「平素は」、「平素から」などと使われます。
「平素」とはかしこまった表現です。
このため「平素」は、ビジネスの文書や手紙の時候の挨拶の後によく用いられます。
「拝啓 時下ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご厚誼を賜り厚く御礼申し上げます。さて早速ではございますが、(以下要件)・・・」
「拝啓」の結びには「敬具」を使い、読み方は「けいぐ」です。
また「隆盛」の読み方は「りゅうせい」で、「厚誼」の読み方は「こうぎ」となります。
次に、「平素」の使い方を紹介します。
「平素」の一般的な使い方
「平素」とはかしこまった形式の挨拶文や通知文に用いられます。
ビジネスや手紙での儀礼的な言葉として使われ、お礼、感謝、協力、挨拶、通知などの書き出しに用います。
口頭で「いつもお世話になっております」ということはあっても、「平素よりお世話になっております」という表現はめったにしません。
「平素」とは普通、口語では使われない言葉です。
「平素」のビジネスでの使い方
「平素」という言葉は、ビジネスでは書き出しで、日頃のお付き合いについて感謝する意思を儀礼的に伝えるものとして用いられます。
その感謝の後に要件として新社屋移転などの挨拶や休業の通知などを記述するのが通常です。
また、販売セールの案内や顧客へ不便や迷惑をかけたときの詫び状などにも「平素」は使われます。
次に「平素」がビジネスで使われるケースを紹介します。
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
平素よりご支援ご協力ありがとうございます。
冒頭で「平素」を用い、その後に、「さてこのたび、・・・」あるいは、「さて早速ですが、・・・」と続けて、督促や協力を依頼するなどの要件を伝えます。
謹啓 時下ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。また、平素より格別のご引き立てにあずかり感謝申し上げます。
さて、弊社では下記の通り夏季休業させていただきますのでお知らせ申し上げます。
【新社屋への移転の通知の場合の例文】
拝啓 晩秋の候、御社におかれましてはますますご発展のこととお慶び申し上げます。また、平素より格別のご厚誼を賜り厚く御礼申し上げます。
さてこのたびかねてより建設中の新社屋が完成し、左記のとおり移転することとなりましたので、ご連絡申し上げます。
このように「平素」を使い、時候の挨拶と感謝の文章を組み合わせて書き出し、その後に「要件」を続けることで案内・通知文になります。
平素より格別のご高配を賜り御礼申し上げます。
「謹啓(きんけい)」の結びは「敬白(けいはく)」となります。
文頭・末尾両方の対の言葉として使われ、意味は慎んで申し上げるとなります。
拝啓 平素より格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。
このたびは御社へ納入いたしました製品の一部に不良品が混入するという不始末をおかしました。まことに申しわけありませんでした。深くお詫び申し上げます。
この後は、不良品混入の原因を説明し、自社の責任を明確にするとともに、再発防止策を直ちに講じたことを伝えるのが通常の詫び状のスタイルです。
「平素」の手紙での使い方
手紙には単なる親交のための手紙のほか、「お礼」、「ご案内」、「協力」、「挨拶」など要件によって書き方の違いがあります。
「平素」は一定の形式にのっとった慣習的な使い方として用いられる言葉です。
手紙の要件に応じて「平素」を上手に使うことが大切です。
次に要件の異なる手紙での「平素」の使い方を紹介します。
拝啓 〇〇さまにはますますご健勝のこととお慶び申しあげます。
また、平素より大変お世話になり感謝申しあげます。
さてわたくしことですが、4月1日づけでパリ支社に赴任する運びとなりました。大阪本社在勤中は公私にわたり、多大なご指導やご協力をいただき心から御礼申し上げます。
本来ならば直接お目にかかってご挨拶を申し上げるところでございますが、急遽赴任が決まり、失礼いたしますことお詫び申し上げます。
(以降、赴任に関連した内容を記述)
敬具
拝啓 平素は格段のご愛顧をいただき厚く御礼申し上げます。
このほど、移転に伴い電話番号が下記の通り変更となりますのでお知らせ申し上げます。
(以降、番号の変更内容を記述)
敬具
「平素」の類語・言い換え
「平素」の類語には、「何時も」、「普段」があります。
「何時(いつ)も大変お世話になっております」、「普段(ふだん)からお世話になっております」などと使います。
これらは「平素はお世話になっております」、「平素からお世話になっております」の言い換えとなります。
上記の類語のほか「日頃」で読み方は「ひごろ」、また「平生」で読み方は「へいぜい」、更に「年中」で読み方は「ねんじゅう」などがあります。
また、「平素」と同じような意味を持つ言葉に「常々(つねづね)」、「連日連夜(れんじつれんや)」、「日夜(にちや)」、「恒常的(こうじょうてき)」などもあります。
これらの言葉の意味や使い方は「平素」と同様に使える場合もありますし、意味合いが異なってくるときもあります。
手紙やメールなどで類語を上手に使い分けることも大切です。
以下に類語での例文を紹介します。
何時も
形式や儀礼を重んじない使い方で「何時(いつ)も」があります。
拝啓や謹啓などの恭(うやうや)しい表現を必要としない場合に使われます。
- 何時も大変お世話になっております
普段
「普段」は「平素」と同じような意味で、どんな状況や場面で気軽に使えます。
- 普段からお気にかけていただきありがとうございます
平生
「平素」と同じ意味で「平生」という言葉があります。
- 平生より格段のご配慮をいただきありがとうございます
「平素」を使うときのポイントと注意点
- 「平素」は「話し言葉(口語)」には使わない
- 面識もなくお付き合いのない初めての人には使わないこと
話し言葉には使わない
「平素」は、話し言葉では使わないのが普通です。
格式張って儀礼的な意味合いを持つことからビジネス上の文書や格調高い手紙などで使われます。
「平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます」と言葉では言いません。
特に、「平素より」は手紙やメール、文書のみ使います。
面識や交流のない人には使わない
「平素」は何時も、あるいは日頃の意味で面識のある人や手紙やメールでのやり取りのあった人に対して使われます。
会ったことのない初めての人に対して「平素からお世話になっています」という表現は奇異な感じを持たれますのご注意ください。
「平素」と「日頃」の違いや使い分け
「平素」とは儀礼的で形式的に使われる場合が多い言葉です。
それに比べ「日頃(ひごろ)」は日常会話はもちろん堅苦しくない手紙やメールで頻繁に用いられます。
「平素」を使った例文「平素より弊社製品をご愛顧いただき心より御礼申し上げます」を「日頃」を使って言い換えると、「日頃より弊社製品をご愛顧いただき、まことにありがとうございます」となります。
この場合、「平素」とは顧客等に対する正式な挨拶状や礼儀をわきまえた案内状などに使われる言葉です。
一方、「日頃」とは堅苦しくない表現のため、親しい知人や何度も会ったりメールのやり取りをした取引先の相手にも気軽に使うことができます。
「平素は」と「平素より」の違いと使い分け
「平素は」とは過去から今に続く過去の状態をひとまとめにして書き出す表現です。
「平素より」とは過去から今に続く継続した状態を書き出して表現しています。
前にも紹介しましたが、「平素」は口語では普通使われません。
また、格助詞「より」は動作・作用の時間的空間的起点を表し、現代語では書き言葉でしか使われません。
話し言葉では「から」を使います。
このため「平素」も「より」も殆ど口語では使われませんので「平素より」は一段と丁寧な表現となります。
メールや手紙などの簡単な例文「平素は大変お世話になっております」と「平素より大変お世話になっております」を比較し、状況に応じて上手に使い分けて下さい。
「平素」を英語で言うと?
「平素」をあえて英語の単語で言えば「いつも」という意味の「always」「usual」などになります。
しかし、日本語での挨拶文「平素より大変お世話になっております」と同じ意味を持つ英語の表現はありません。
何とか英語で日本語の意味合いを表現するとするなら次のようになります。
「平素より大変お世話になっております」は「I appreciate all you have done for me.」です。
いずれも的確に相手に直接意思を伝える場合にのみ使うのが良いでしょう。
日本語の儀礼的な言葉の持つ意味合いとは異なります。
「平素」を上手に使いましょう
「平素」とはどのような意味を持ち、どのような場合に使われるかお解りになりましたか。
「平素は」と「平素より」は意味が似ていますが、使い方が多少異なります。
「平素」という言葉がビジネスや手紙・メールなどでどう使われるかを熟知しましょう。
状況や場面に応じて「平素」という格調の高い言葉を使った文章を作成して敬語表現の上手なプロフェッショナルを目指しましょう。
キャリアアップや転職についてお考えの方はこちらの記事も合わせてご覧ください。