「重々承知」という言葉は日常生活ではあまり使う事の少ない言葉ですが、ビジネスシーンでは多々登場します。
日本人だけに限らず、外国人にも控えめで丁寧な表現の「重々承知」は好感を持たれる言葉です。
日本語と英語の両方で、「重々承知」の言いかえや類語の表現方法を使いこなすことができれば、重要な商談や謝罪をスムーズに進めることができることでしょう。
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目次
「重々承知」の意味と使い方
「承知しました」は、メールや電話などの特に重要な仕事の交渉や謝罪の際に使われ、低姿勢で丁寧な印象を与える言葉です。
また、現代のビジネスシーンでは、海外との取引も増え、メールや電話での英語対応の重要性が高まっています。
「重々承知」の類語も含めて英語での表現方法も覚えておきたいところです。
この章ではまず、意味と使い方を解説します。
「重々承知」の意味とは?
「重々承知」を、「重々」と「承知」に分解して解説していきます。
「重々」には、「かさねがさね」「いくえにも」「十分に」「よくよく」という意味があり、英語では「fully」(十分に、完全に)と訳せます。
「承知」は、シーンごとに意味が異なり、「分かりました」「知っています」といった意味で、英語では「aware of~」「understand」(~を承知する、理解する)と訳せます。
「重々承知」とは、単に知っているだけではなく、「十分に知っています」「よく分かっています」という意味になります。
相手の立場を考慮した思い遣りのある言葉ですので、ビジネスにおいての商談やメールの際にうまく使うと有効的です。
「重々承知」の使い方
「重々承知」という言葉は、「相手の事情は十分に理解しています」という謙虚な気持ちを伝えたい時に便利です。
例えば上司や取引先に心苦しい頼み事などをする時に、丁寧に真剣な態度で「重々承知」という言葉を使って提案すると、聞き入れてもらえる可能性が高くなります。
しかし、「重々承知」を多用するのは厳禁です。
メールなど文書でも使いすぎると、誠実さや真剣さがぼやけてしまいます。
「重々承知」を使う上で最も大切なことは、もうこれ以上は譲れないという場面で使うことです。
ここぞという重要なシーンで使用することをおすすめします。
「重々承知」を使った例文
「重々承知」という言葉の意味や使い方が理解できたところで、あらゆるシチュエーションごとに適切な例文を紹介します。
「重々承知」という言葉の正しい使い方をマスターして、ビジネスでのコミュニケーションを潤滑におこなえるようになりましょう!
「重々承知」を使いすぎると印象を悪くしてしまうことは前の章でお話ししました。
ビジネススキルを上げたい方は、「重々承知」の類語なども適度に言いかえて表現する術を身に着けたいところです!
ビジネスの場では、国内だけでなく海外の取引先と英語で対応することもあります。
そのようなシーンでも英語の「重々承知」や類語表現が使えるように、英語力もつけておきましょう。
相手に頼み事をする場合
相手に頼み事をする場合は、メールや電話であってもやはり心苦しいでしょう。
それが無理難題であればなおさらです。
こういう時こそ「重々承知」という言葉を使うことで、相手に好印象を与え交渉を有利に進めることが出来るでしょう。
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- 無理なお願いをしていることは「重々承知」致しておりますが、何卒、ご検討のほど宜しくお願い申し上げます。
相手に謝罪をする場合
相手に謝罪をする場合はメールや電話であっても、誠意を持って謝罪の念を込めなければ相手に伝わらないものです。
謝罪する時には、低姿勢で自身のミスに真剣に向き合い「重々承知」や類語などを適度に織り交ぜ伝えましょう。
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- 今回の誤発注は、弊社の不注意であることは「重々承知」致しております。社員一同、再発防止に努めてまいりますので、今後とも宜しくお願い申し上げます。
相手の苦しい立場に理解を示す場合
ビジネスの場では、相手側に不利な商談もあります。
しかし、自社の利益を左右する案件では、どうしても契約を締結したいという気持ちが強く働きます。
このようなシーンでは「重々承知」を織り交ぜ「御社の事情はよく理解しています」という気持ちを伝えて、交渉をスムーズに進めましょう。
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- 御社のご負担になることは「重々承知」しておりますが、何卒、ご検討の程よろしくお願いいたします。
相手に迷惑を掛けてしまった場合
ビジネスにおいて相手に迷惑を掛けてしまった場合も、誠実かつ真摯に謝罪の気持ちを伝えることが大切です。
このケースでも「重々承知」や類語をうまく織り交ぜ、低姿勢な誠意ある言葉で相手の印象を良くするように努めましょう。
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- 御社には多大なご迷惑をお掛けしましたことは「重々承知」しております。心よりお詫び申し上げます。
相手の要望に添えない場合
ビジネスにおける商談では、相手側の希望・要望に添えない場合もあります。
しかし、相手側の立場を考慮しないストレートな断り方では、相手は気分を害してしまいます。
そのような場合も「御社の事情はよく理解しています。」という気持ちを表すために「重々承知」を織り交ぜて伝えることで、商談も上手く進むことでしょう。
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- 御社のご事情は「重々承知」しておりましたが、ご要望に添えず大変申し訳ございません。
自分自身について話す場合
自分自身の事を話す場合に目下の人や同僚などには「重々承知」を使う必要性はありません。
しかし、目上の方や上司に対して自分の短所などを話す場合にも「重々承知」を織り交ぜて伝える方が、好感を持たれることがあります。
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- スキル不足は「重々承知」しておりましたが、周りの人とのスキルの差がここまでとは思いもよりませんでした。
他人について話す場合
ビジネスシーンで部下や同僚の事を、目上の方や上司に話す機会もあるでしょう。
「重々承知」の言葉をワンクッション入れることで、内容を強調しながらも丁寧な印象になります。
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- 彼女の有能さは「重々承知」しておりましたが、ここまで仕事ができる人だとは思っていませんでした。
相手の認知度を問う場合
ビジネスに限らず、相手が少し常識を外れた要求をすることもあります。
この場合には相手の真意や理解度を推し量る必要があります。
もし相手の要望が困難やリスクの可能性のある時は、念を押す意味でも「重々承知」や類語を織り交ぜて、失敗を覚悟した上での決断なのかということを問いかけましょう。
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- この度のプロジェクトですが、失敗の可能性が高いということを「重々承知」した上でのご提案ということでよろしいでしょうか?
物や事象について話す場合
ビジネスの場でも、取引先の気候や行事などについて話が及ぶこともあることでしょう。
または出張先の地方の土産話に花が咲くことも想定されます。
そのような場合であっても、目上の方や取引先の方には謙虚で誠実な表現である「重々承知」や類語などを適度に織り交ぜて、気持ちを伝えたいものです。
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- 夏の京都が暑いということは「重々承知」していたつもりでしたが、想像以上の暑さに驚きました。
「重々承知」の類語・言いかえ表現
「重々承知」という言葉にも類語が存在します。
その中の一つである「百も承知」は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
この章では「重々承知」の類語を4パターンと、それぞれの類語の意味を例文とともに紹介していきます。
「重々承知」の類語「百も承知」の意味と例文
皆さん「百も承知」という表現は、一度は聞いたことがあるでしょう。
意味としては「言われなくても十分に知っている」になります。
「重々承知」との違いは敬語表現ではないことでしょう。
目上の方や上司、取引先などとのコミュニーケーションに使ってしまうと失礼にあたるので注意が必要です。
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- 暴飲暴食が体に悪いのは「百も承知」だが、ついつい食べすぎてしまう。
「重々承知」の類語「委細承知」の意味と例文
「委細承知」という表現は日常生活では聞き慣れない言葉でしょう。
「詳しい事情も含めて全部わかっている」という意味です。
「重々承知」に比べて、強い表現になりますので使う場面に配慮が必要です。
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- ご連絡ありがとうございます。変更内容など「委細承知」しました。
「重々承知」の類語「先刻承知」の意味と例文
「先刻承知」という表現は聞いたことがあるでしょうか。
「前から知っている、かなり前から承知している」という意味です。
「重々承知」と比べると、「そんな常識的なことは、ずっと前から知っている」というようなニュアンスを含んでしまい失礼な印象を与えてしまうこともあります。
絶対にビジネスシーンでは使わないように注意してください。
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- 長い間、同じ職場にいただけあって、彼の考えは「先刻承知」なんです。
「重々承知」の類語「合点承知」の意味と例文
「合点承知」の表現は時代劇などで聞き覚えがあるでしょう。
俗にいう、江戸っ子が使っていた言葉として知られています。
「物事についての情報を得てそれを認める」という意味になります。
現代では使うことはないに等しい表現です。
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- 「合点承知」俺に任せろ!
「重々承知」の英語表現
記事冒頭でも紹介しましたが、現代のビジネスはグローバルな時代へと進んでいます。
あらゆるビジネスシーンにおいて英語での対応は必要不可欠です。
特に貿易に関わる商社などは、高い英語力を求められます。
この章では、丁寧で低姿勢な印象を与える「重々承知」を英語で表現できるよう解説します。
例文1:I am very (well) aware of that.(それは重々承知している)
be aware of~:~を承知する。~を認識する。
例文2:I fully understand that.(それは十分にわかっています)
fully:十分に、完全に
英語での表現はこのようになります。
各フレーズを駆使して英語でのコミュニケーションにお役立てください。
「重々承知」を使うメリット
「重々承知」を使うメリットは、相手に好感を持ってもらえることです。
「重々承知」を使う場面は、ビジネスでの交渉であったり、謝罪など自分にとって重要な場面となります。
ここぞのタイミングで相手に敬意を表す「重々承知」を織り交ぜて話すことで、分が悪い状況でも、相手に良い印象を与える効果があります。
「重々承知」をメールで使うメリット
「重々承知」をメールで使うメリットは、文章のみのやり取りにおいても感情を伝えやすい点です。
メールの文面は相手の立場や感情を配慮して書かないと誤解を生むことがあります。
「重々承知」を使うことで文面のやり取りを円滑に進めることができます。
「重々承知」を上司に使うメリット
身内であっても上司への頼み事や謝罪は心苦しいものです。
「重々承知」という表現は、その不安を取り除いてくれる言葉です。
自分自身を低い位置に置き、相手を高めて敬意を表すことで、「ここまで低姿勢で謝罪をしているのだから許してやろう!」という心理を働かせることができます。
敬語を上手に使うことで円滑な人間関係
人間関係において大切なこととして、「親しき中にも礼儀あり」という言葉があります。
目上の方や上司、取引先は勿論のこと、円滑な人間関係を築くために、誰に対しても敬意持って接したいものです。
敬語には、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つがあることは皆さんも「重々承知」でしょうが、これらを上手に組み合わせ、円滑な人間関係を築いていきましょう。
敬語やマナーは勉強したらできるようになる!
「重々承知」について例文とともに紹介してまいりましたが、いかがでしょうか?
ビジネスの場だけに限らず、日常生活においても言葉遣いはその人の品格を表します。
「敬語」を正しく理解し、相手に対して敬意を持った表現をすることで円滑な人間関係を築くことが出来ます。
今の時代、インターネットの「検索エンジン」を利用すればあらゆる専門的なサイトが敬語やマナーを教えてくれます。
また、書店でもビジネスコーナーに行けばビジネスマナーの書籍も購入できます。
努力次第で敬語やマナーは身につけられます!
社会人として恥ずかしくないように、TPOに応じた敬語表現ができるようになりたいものです。
言葉は使い方を間違うと相手を傷つけたり不快にします。
一方で、思いやりのある言葉が人に勇気や元気を与えることもできます。
控えめで丁寧な「重々承知」をうまく使い、円滑な人間関係を築いていきましょう!ここに文
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