ビジネスシーンで、自分だけでは判断できないときに「とりあえず検討します。」と答えたことがある人も多いでしょう。
「とりあえず」は使い勝手の良い便利な言葉ですが、敬語や丁寧語ではないため、ビジネスシーンでは好まれません。
ビジネスで「とりあえず」と使いたいとき、どのようなフレーズを使うのが適切なのでしょうか。
この記事では、「とりあえず」が持つ言葉の意味と、ビジネスにおける適切なフレーズなどをご紹介します。
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目次
知っていますか?「とりあえず」の持つ意味
「とりあえず」は「間に合わせ」と「一応」の二つの意味を持ちます。
「とりあえず」の語源は、「取るべきものも取らずに」にあります。
日常でも頻繁に使うフレーズのため、あまり意味の違いを意識することは少ないでしょう。
ビジネスなど、あらたまった場で正しく使うためには、まず正しい意味の把握が大切です。
「とりあえず」は書き言葉・話し言葉問わずよく使われるフレーズですが、敬語表現や丁寧な表現ではありません。
書き言葉で「とりあえず」は「取り敢えず」と書く場合もあります。
この章では、例文を交えながら、「とりあえず」の意味をご紹介します。
「とりあえず」は緊急性を表せるフレーズ
「とりあえず」は「その場を間に合わせる」という、緊急性を表せるフレーズです。
「現段階で十分な対応はできないが、間に合わせで暫定的に対応する」のが「とりあえず」というフレーズの意味です。
このような緊急性を意味する「とりあえず」を使った、例文をご紹介します。
- 「出血がひどいが、近くに病院はないので、とりあえず応急処置をした。」
- 「取引先から突然連絡があったが、関係者が席を外しているので、とりあえず要件をメモした。」
例文のように、「現段階では十分な対応ではないが、間に合わせで緊急的に対応した」ことを表すときに用います。
知っておこう。「とりあえず」の持つ、もう一つの意味
「とりあえず」にはもう一つ意味があり、「一応」や「さしあたって」という意味もあります。
「念のため」に少し近いニュアンスがあり、一つ目の「間に合わせる」よりも緊急性はありません。
「一応」や「さしあたって」の意味で使われる、「とりあえず」の例文をご紹介します。
- 「これから何時間も食べられなくなるかもしれないから、とりあえず今のうちに食べておこう。」
- 「いいアイデアを思いついたけれど、もう寝るからとりあえず忘れないうちにメモしておこう。」
例文のように、「念のため」といったニュアンスを表すときに用います。
念のための再確認!「とりあえず」の使い方
「とりあえず」は、日常でもよく使われ、使い勝手のいいフレーズです。
「十分ではないが、緊急的にその対応をする」というニュアンスを示す言葉として使われるのが基本的でしょう。
ただし、「とりあえず」は砕けた表現で、「その場しのぎで適当」という印象も与えかねないので、使い方には注意が必要です。
また、「とりあえず」は敬語や丁寧語ではありません。
上司や取引先など、目上の方に使うのはマナー違反となります。
この章では、例文を交えながら、「とりあえず」の使い方をご紹介します。
その場の対応として使う
「とりあえず」は「今この場で対応できる手段」を意味する動詞を続けるのが、基本的な使い方です。
現時点では、十分な対応ができない場面に遭遇したとき、「とりあえず」が使えるでしょう。
「今この場で対応できる手段」を意味する動詞を続けた、「とりあえず」の使い方をご紹介します。
取引先から、「この製品の色を、赤にするか青にするか、どちらか決めて欲しい」と問われました。
- 私個人で判断しかねる内容のため、とりあえず社内に持ち帰り、話し合いますとお答えしました。
「とりあえず」を使うときは、「今この場で対応できる手段」を明確にしましょう。
「とりあえず」は後の行動が重要視される!
「とりあえず」は「その場しのぎ」というニュアンスが強いフレーズです。
相手によっては、「やっつけ仕事をしている」という印象を抱かせる恐れもあります。
必ず、後できちんと対応したり、報告したりしましょう。
ビジネスにおいて一番大切な「信頼関係」にかかわってきます。
覚えておこう!「とりあえず」は英語でこう表現する
「とりあえず」は、英語ではどう表現するのでしょうか。
この章では、「とりあえず」の英語表現を、シーン別にご紹介します。
ビジネスシーンにおける「とりあえず」の英語表現はこれ!
ビジネスシーンでは、「とりあえず」は英語で、「For the time being…」が使われます。
「For the time being…」には、フォーマルな表現で「当面は」などを意味します。
ビジネスシーンでは、「For the time being…」を使いましょう。
くだけたシーンなら「とりあえず」は英語でこう表現する!
友人同士の会話などくだけたシーンでは、「とりあえず」を英語では「Anyway …」や「… for now」と表現します。
「Anyway …」は、話がまとまっていないときなどに使われるフレーズです。
「… for now」は、後に何かが続く場合に使われるフレーズです。
どちらも気さくな相手との会話に用いられます。
ビジネスシーンには適さないフレーズなので、使い場合は気を付けましょう。
英語でのコミュニケーションにも「相手を敬う気持ち」が大切
日本語のみならず、英語でのコミュニケーションにも、「相手を敬う気持ち」が大切になります。
特にビジネスシーンでは、相手は仕事上あなたに真摯に向き合っています。
こちらも「敬い」の気持ちを忘れず、真摯に向き合っていきましょう。
「とりあえず」を使いがちなビジネスシーン
この章では、主にビジネスシーンで想定される「とりあえず」を使いがちな例文を、複数ご紹介します。
使い方の復習として、参考になさってください。
「とりあえず」の例文【場面別】
ビジネスシーン別の「とりあえず」の例文を、ご紹介します。
会社の会議
- 「田中社長のご到着が遅れておりますので、とりあえず資料に目を通しておいてください。」
会社の会議でのシーンで使ってしまいがちな例ですよね。
ですが「とりあえず」を使うのは控えるべきです。
資料・企画書等の作成
- 「ページ数が多くなってしまうので、とりあえず優先順位の低い事柄は省きます。」
- 「後でまとめるので、印刷したものはとりあえず机の上に置いてください。」
上記の2つは資料・企画書等の作成のときについ使ってしまうシーンです。
ここでも「とりあえず」を使用するのは避けましょう。
商談
- 「企画を拝見いたしました。私の一存では判断できかねますので、とりあえず社内に持ち帰り、検討いたします。」
- 「〇社との商談が先に進めることになったので、とりあえず見積書や資料を先方に送付いたします。
上記の例文のように、商談の場でも「とりあえず」というフレーズを使ってしまいがちです。
しかし、「とりあえず」は敬語ではないので、相手に不快な印象を与える恐れもあります。
敬語の側面を持つ「ひとまず」や「まず」等の言葉に言い換えた方が無難でしょう。
「とりあえず」の例文【対象別】
「とりあえず」というフレーズは、使う相手を選ぶフレーズです。
ここでは、対象別の「とりあえず」を使った例文を紹介します。
どのような相手には使わないほうが無難なのか、覚えておきましょう。
同僚
- 「約束の時間より早く着きすぎてしまったので、とりあえず近くの喫茶店にでも入りましょう。」
- 「〇〇課長から、歓迎会の詳細が届きましたので、目を通したらとりあえず他へも共有してもらえますか。」
- 「この件に関して、とりあえずは保留にしておきましょう。」
二番目の例文は主に、メールやメモ書き等の書き言葉で使われる表現です。
敬語ではないので上司など、目上の方には、使わないのがベターでしょう。
仲の良い同僚であっても、オフィシャルな場では避けたほうが無難です。
部下
- 「〇社の商談を進めることになったので、とりあえず資料の確認をしておいてください。」
- 「私は打ち合わせに行ってきますので、とりあえず企画書の作成を進めてください。」
- 「今のままでは自信がなさそうに見えるので、とりあえず胸を張って大きな声を出してみましょう。」
「とりあえず」は敬語ではないので、目上の方には使うのはマナー違反です。
しかし、同僚や部下であれば、報告や連絡の際に使っても差し支えありません。
しかし、オフィシャルな場では、同僚や部下であっても、使わないほうが無難なケースもあります。
また、「とりあえず」という表現は「優先順位が低い印象」もあります。
優先順位の高い依頼をする場合は「とりあえず」は使わず、優先して欲しい旨を伝えるべきです。
入社希望者
- 「とりあえず履歴書を送ってください。」
新卒者向け会社説明会というよりは、転職希望者向け説明会で使われる、お馴染みの使い方です。
あまり丁寧な印象を与えない表現なので、「とりあえず」は使わないほうがベターでしょう。
ビジネスシーンで重要!「とりあえず」「ひとまず」「まず」の違いと使い分け
「とりあえず」は敬語ではないので、ビジネスシーンでは使わないほうがベターだと、前章まででご紹介しました。
それでは「とりあえず」は、ビジネスシーンにおいて、どう言い換えればよいのでしょうか。
「とりあず」を言い換えできる丁寧語として「ひとまず(一先ず)」や「まず」があります。
「ひとまず」「まず」はビジネスでも使える丁寧語です。
しかし、意味合いは「とりあえず」と若干異なるため、状況に応じた使い分けが必要になるでしょう。
簡単な使い分け方は「過去のことを報告する」場合は「ひとまず」、「すぐに対応する」場合は「まず」を使いましょう。
こう使い分ければ、不自然な印象にはなりません。
どちらも丁寧語なので、ビジネスシーンで「とりあえず」を使いたい場合は、これらの言葉に置き換えてみましょう。
この章では、それぞれの言葉の違いや、使い方をご紹介します。
「とりあえず」「ひとまず」「まず」の違いはここにある!
「ひとまず」や「まず」は「とりあえず」よりも丁寧な表現で、ビジネスシーンでも使って差し支えありません。
どちらも「とりあえず」にある「適当」というニュアンスがなく、ビジネス文書にも用いられます。
「ひとまず」も「まず」も基本的な使い方は「とりあえず」と同じです。
ただしそれぞれ少しずつ意味合いが違うため、時と場合によって使い分けましょう。
対応しましたと後で報告するなら「ひとまず」を使いましょう。
これから真っ先に手を付けるなら「まず」使います。
このように、報告する際に使い分けできると、よりスマートな印象を与えます。
「ひとまず」は「今最優先してやること」という意味合いがある
丁寧語にあたるので、ビジネスシーンでも、誰に対しても使って差し支えありません。
「とりあえず」は「優先順位が低くその場しのぎ」なイメージを抱かせる危険性があります。
ビジネスシーンで使うと「こちらをきちんと重要視している」と思ってもらえますよね。
漢字で書くと「一先ず」と書くこともできます。
書き言葉として使うときは、ひらがなを用いたほうが無難でしょう。
「ひとまず」には「とりあえず」のような緊急性がありません。
どちらかというと「ひとまず~しました」のような事後報告で使われるシーンが多い、丁寧語です。
「まず」は「始めに」というニュアンスが強い
「まず」は「とりあえず」と比べて「始めに」「最初にすること」というニュアンスが強い丁寧語です。
たとえば料理のレシピなどでも「まず、ボウルに砂糖を入れます」と書かれていますよね。
このように、一番目にする事柄の前に「まず」を置きます。
ビジネスシーンでは、上司の指示に対して「わかりました。まず〇〇しますね」などのように使われます。
「まず」を使うシーンは、事前の報告が多くなるでしょう。
「まず」を使うことで、相手に「真っ先に対応してくれる」という印象を与えます。
「まず」は「これから~します」という、未来の報告をする使い方が多い丁寧語です。
メール等でこれから対応する旨を報告する場合は「まず」を使いましょう。
「ひとまず」との使い分けは、対応が「過去」なのか「未来」なのかで判断するといいでしょう。
「まず」は、過去の対応にも使っても違和感の少ない、便利なフレーズです。
覚えておこう!「ひとまず」も「まず」もビジネスシーンで使えるフレーズ
「とりあえず」は、「ひとまず」や「まず」に言い換えられます。
若干のニュアンスは違いますが、「とりあえず」が持つ、「適当さ」や「優先順位の低さ」のような、悪印象はありません。
丁寧語でもあるため、ビジネスシーンでも使って問題ないでしょう。
「とりあえず」を使いたい場合は「ひとまず」や「まず」と言い換えましょう。
「ひとまず」と「まず」は、シーンによって使い分ければ、よりスマートな印象になります。
「取り急ぎ」もビジネスシーンには不向き
「とりあえず」と意味が似た言葉に「取り急ぎ」という表現もあります。
時間がない時になど、「取り急ぎご連絡まで」とメールなどでよく使われます。
実は「取り急ぎ」もビジネスシーンには不向きです。
「取り急ぎ」は敬語ではなく、文章が途中で終わっていることから、失礼な印象を与えかねません。
上司や社外の取引先に使う場合は文を完結させたり、敬語を使った表現に言い換えたりする必要があります。
ビジネスシーンでは、相手に合わせた表現が大切なのです。
これで完璧!「とりあえず」をビジネスで使う際のマナー
知らないと損をする「とりあえず」はビジネス敬語ではない!
「とりあえず」は丁寧語ではありません。
適切な言葉遣いを求められるビジネスシーンでは、あまり好まれないフレーズでしょう。
ビジネスシーンでは、極力使わないのが無難です。
ビジネスシーンでは、相手が目上の方へは、どんな報告や連絡でも、敬語や丁寧語を使うのがマナーの基本です。
口頭でもメールやお手紙等の書き言葉でも、必ず敬語や丁寧語を使うようにしましょう。
少しの配慮で印象アップ!上司に「とりあえず」は使わない
「とりあえず」はビジネスシーンでは使わないのが無難なフレーズです。
「とりあえず」は「ひとまず」や「まず」に置き換えましょう。
親しい上司や同僚・部下に会話の中で使う場合は問題ありません。
目上の方や社外の方へは、悪い印象を持たれかねない危険性があります。
会議や打ち合わせ、メールなど、大事なビジネスシーンでは、丁寧語や敬語などで対応しましょう。
「信頼」は言葉から生まれる!言葉の使い方ひとつで印象は大きく変わる
この記事では、「とりあえず」というフレーズについて紹介してきました。
「上司に「とりあえず」を使ったら嫌な顔をされた」という経験を持つビジネスパーソンは意外と多いでしょう。
「とりあえず」は敬語ではないということを知っていれば、そのようなことは未然に防げます。
ビジネスマナーや敬語の知識、丁寧語の把握は、ビジネスパーソンには必須です。
メールでも口頭でも、言葉の使い方一つで、相手が感じる印象はかなり違ってきます。
仕事ができる人ほど正しい敬語を使え、マナーを守れるものです。
もちろん、その人も最初から完璧な敬語を使えるわけではありません。
仕事を覚えるのも大切ですが、正しい敬語を使えるよう知識を蓄えるのも優秀なビジネスパーソンになるために必要です。
普段から、ビジネスシーンにおける正しい言葉遣いを意識しましょう。