ビジネス文書や改まった場面の挨拶でよく用いられる「これもひとえに~です」という表現。
この「ひとえに」の正しい意味を理解できていますか?
本記事では、「ひとえに」の意味や使い方をわかりやすく解説していきます。
ビジネスで用いる例文も併せてご紹介しますので、「ひとえに」を上手に使いこなせるようになりましょう。
マイナビ転職 |
(5.0) |
- 幅広い職種で採用を成功実績あり!
- スカウトサービス機能がとっても便利!
doda |
(4.0) |
- IT・エンジニア系・技術系の求人情報が多い
- 転職サイトと転職エージェント両方のサービスを受けることが出来る
リクナビNEXT |
(3.0) |
- 掲載企業数3年連続No.1
- 多くの求職者から最適な⼈材を集める、求⼈広告型の採⽤⽀援サービス
目次
「ひとえに」の意味や漢字表記は?
まず、手紙やメールなどでよく見る「ひとえに」の意味とは何かをご紹介していきます。
併せてあまり見ることのない漢字での表記もご紹介いたします!
「ひとえに」の意味
「ひとえに」は、副詞です。
副詞とは、次にくる言葉を修飾します。
名詞の「一重(ひとえ)」に、格助詞の「に」がついた言葉です。
「これもひとえに~のおかげです」などの表現でよく使われます。
そして、「ひとえに」には2つの意味があります。
1つ目の意味とは
「まったく」「もっぱら」と似た表現と言えるでしょう。
・これもひとえに皆様のご尽力のおかげと深く感謝いたします。
この文例のように、主に「名詞」の前につけることで”原因・理由がただそれだけであるさま”を表す「ひとえに」になります。
2つ目の意味とは
「ひたすら」「一途に」といった似た表現があります。
・この度の不手際、ひとえにお詫び申し上げます。
この文例のように、主に「動詞」の前につけることで”ただその事だけを行うさま”を表す「ひとえに」になります。
日常やビジネスで多く使われるのは1つめの意味
以上のように「ひとえに」は、後につく言葉や話の流れによって意味が変わります。
日常やビジネスでは、1つめの意味で使われることが多いです。
一方、2つ目の意味としての「ひとえに」は、古く堅苦しいイメージがあります。
そのため、日常生活やビジネスでは、あまり使われていません。
とはいえ、選挙などの堅い言葉を必要とする場面や、ひたすらお詫びする場面などでは、現在でもよく使われています。
「ひとえに」の漢字表記
「ひとえに」は、漢字で表記すると【偏に】です。
【偏】には、偏る(かたよる)という意味があります。
そして、「ひとえに」は、“ただそれだけ”という意味があることから【偏に】と表記します。
ただし、【偏に】は、読める人が少なく、常用漢字でもありません。
そのため、一般的には、ひらがなで「ひとえに」と表記します。
「ひとえに」を「一重に」と表記するのは間違い
パソコンで「ひとえに」を変換すると、「一重に」が上位に表示されます。
つい「一重に」を選択しがちですが、これは間違いです。
名詞としての「一重(ひとえ)」はありますが、副詞としての「一重に」はありません。
「ひとえに」の意味を理解すれば、間違うこともなくなるでしょう。
「ひとえに」の例文
「ひとえに」を使った例文をご紹介します。
初めに「ひとえに」の意味別の例文を、次に感謝・謝罪を述べるときの例文をご紹介していきます。
文例の一つとして覚えておくと良いでしょう。
意味別の「ひとえに」の例文
「ひとえに」の“原因・理由がただそれだけであるさま”と“ただそれだけを行うさま”という2つの意味、それぞれの使い方をご紹介していきます。
原因・理由がただそれだけであるさま
先生の熱心なご指導が理由ということを強調し、感謝の意を表す文例です。
ただそれだけを行うさま
受賞の喜びを、ただただ喜ぶという意味を表す文例です。
感謝・謝罪を述べるときの「ひとえに」の例文
「ひとえに」は、相手に感謝を述べるとき・謝罪を述べるときに使うことができます。
その例文をいくつかご紹介していきます。
感謝の気持ちを述べるときの例文
・この度、弊社は創立○○周年を迎えることができました。これもひとえにお客様方の日頃のご愛顧のおかげと御礼申し上げます。
感謝の言葉を述べるときは、「これもひとえに~のおかげ」として次に感謝の言葉を添える文例が多いです。
謝罪を述べるときの例文
・皆様に多大なご迷惑をおかけすることとなりました。それはひとえに私の不徳の致すところでございます。誠に申し訳ございませんでした。
謝罪の場合は、「ひとえに」+「名詞」にすることにより原因をきちんと説明することが大切です。
この使い方だと、ただお詫びをすることを強調する表現となります。
こちらの不徳・不祥事等の、目上の人やお客様に対する謝罪としては、失礼になることがあるので注意しましょう。
「ひとえに」の類語表現
「ひとえに」は、改まった場面でのスピーチや、目上の人やお客様に感謝の気持ちやお詫びを丁寧に表現する言葉です。
こういった場面での類語や言い換えはあまりありません。
一方、親しい間柄の人に手紙やメールで感謝の気持ちやお詫びを伝えるときには、堅苦しさや違和感を与えてしまうことがあります。
そんな時には、類語や言い換えを使うと良いでしょう。
“原因・理由がただそれだけであるさま”の意味での類語・言い換え表現
この意味の「ひとえに」の類語には、「もっぱら」「一途に」「主に」「他でもなく」があります。
・今回チームリーダーになれたのは、他でもなく○○さんの推薦があったからこそです。ありがとうございます。
・このプロジェクトが成功したのは、もっぱらリーダーの優れた采配によるものです。
これらの類語は敬語表現ではありません。
そのため、ビジネスシーンではなく、親しい人への手紙やメール、話し言葉で用いると良いでしょう。
“ただそれだけを行うさま”の意味での類語・言い換え表現
この意味の「ひとえに」の類語には、「ただただ」「ひたすらに」「一途に」「全く」があります。
・今回の失敗は、自分のミスだとただただ悔やむ。
・一途に思い続ける。
“ただそれだけを行うさま”という意味での「ひとえに」は、ビジネスで使われることがほとんどありません。
こちらの言い換えも親しい人へ使う場合がほとんどとなります。
「ひとえに」をビジネスやメールで使う
ビジネスでの「ひとえに」は、感謝の言葉やお詫びの言葉を述べる手紙・メールに使われます。
同僚よりも目上の人に使う場合が多い言葉です。
使い方のコツをご紹介していきます。
ビジネスでは”原因・理由がただそれだけであるさま”の意味で使う
ビジネスで使われる「ひとえに」は、”原因・理由がただそれだけであるさま”の意味として使うのがほとんどです。
感謝の気持ちを述べる際には、「これもひとえに○○のおかげ」といった表現で使われます。
皆様のお力添え、ただそれだけが成功の理由という気持ちが強く込められている表現です。
次に、謝罪の気持ちを述べるときの使い方です。
自分のミスで不手際が起きたことを強調してお詫びする表現です。
感謝・謝罪どちらの場合も「ひとえに」+「名詞」の使い方で原因・理由を明確にするのがコツです。
「ひとえに」を挨拶やスピーチで使う
「ひとえに」は、冠婚葬祭や改まった場での挨拶やスピーチの中でもよく使われています。
そのいくつかをご紹介します。
冠婚葬祭での「ひとえに」
結婚式でよく使われる表現です。
新郎新婦の挨拶の中で、列席者へ感謝の意を示すときに用いられます。
葬式の場でも、遺族代表からの挨拶の中で、また故人に生前お世話になったことを述べるときなどに使われます。
公的な場や改まった場での「ひとえに」
賞を受賞した際のスピーチで、周囲の方に感謝を述べるときにも「ひとえに」はよく使われます。
このような歓送迎会のスピーチでも、お世話になった方々への感謝の言葉の中で使うことができます。
「ひとえに」を目上の人やお客様に使う際の注意点
「ひとえに」そのものは、敬語表現ではありません。
ですが、ビジネスの現場で、日常的に深い感謝や謝罪の気持ちを伝える丁寧な表現として使われています。
そのため、目上の人やお客様への手紙・メールで日常的に使うことができます。
ただ、「ひとえに」をつける場所によって意味が少し違ってきます。
その注意点をご紹介します。
「ひとえに」は修飾する言葉によって意味が変わる
副詞である「ひとえに」は、修飾する言葉によって意味が変わってきます。
一番わかりやすいのは、ビジネスでよく使われる「ひとえに○○のおかげ」の文例です。
この文の「ひとえに」は、“皆様のご尽力”を修飾しています。
そして、「ひとえに」を使う場合は、ほとんどがこの表現です。
自分の力ではなく、皆様のおかげだと強調することで、相手を立てて感謝の意を表現しています。
この文の「ひとえに」は、“感謝”を修飾しますので、ただただ感謝するという意味の表現になります。
また、古めかしいイメージもあります。
間違いではありませんが、ビジネスでは使われることが少ない表現です。
ましてや、目上の人やお客様には感謝だけかと失礼なイメージも与えかねませんので注意しましょう。
また、目上の人やお客様に使う場合は、以下のように後に続く言葉を敬語表現にするように気を付けましょう。
- お力添え → ご尽力
- 感謝します → 感謝いたします
- お詫びします → お詫びいたします
「ひとえに」を上手に使いこなそう!
ひとえにといっても2つの意味があり、使い方で意味が違ってくることお解りいただけましたか?
「ひとえに」は、深い感謝の気持ちや心からの謝罪の気持ちを手紙やメールで文書にするとき、かしこまった場面でスピーチするときなどに使い勝手の良い言葉です。
これを機会に、目上の人やお客様への手紙やメールでぜひ活用してください。