ビジネスにおいて、特にメールの結びの句として「どうぞよろしくお願いします」「どうぞよろしくお願いいたします」は高い頻度で使用されます。
この記事では、「どうぞよろしくお願いします」「どうぞよろしくお願いいたします」の意味と違い・使い方・言い換えについて解説します。
例文も挙げているので是非参考にしてください。
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目次
「どうぞよろしくお願いします/いたします」とは
ビジネスの場において「どうぞよろしくお願いします」「どうぞよろしくお願いいたします」の2つのフレーズは、決まり文句と言ってもよいほど多く使用されています。
特に、メールの文末ではかなりの頻度でこれらが使用されているのではないでしょうか。
多く使用するからこそ、単なる「締めの言葉」「決まり文句」と軽く捉えずに、きちんと意味と使い方を理解して適切に使用できるようにしましょう。
丁寧にお願いを伝える言葉
「どうぞよろしくお願いします」「どうぞよろしくお願いいたします」は、「適切に配慮して欲しいです」「便宜をはからって欲しいです」という気持ちを相手に丁寧に伝えると共に、お願いする言葉です。
次に、構成されている言葉一つ一つに注目して細かく見ていくことで、より理解を深めましょう。
「よろしく」が重要ワード
「どうぞよろしくお願いします/いたします」の中で、どうしても相手に伝えたい意味を表す言葉をひとつだけ選ぶとすると、それは「よろしく」でしょう。
「よろしく」の意味は以下4つです。
- 適当に。うまい具合に。
- 挨拶語。便宜をはからって欲しい・適切な配慮を期待、等の気持ちが込められている。
- (下に「べし」を伴い) 当然、ぜひとも。
- 他の語句に付いて「あたかも、何々らしく」を意味。
挨拶語の「よろしく」とは
前項「よろしく」の意味2 で「挨拶語」と冒頭に書かれています。
日常の挨拶以外の使い方として、「初めて人と会った場面」が例として挙げられますね。
「初めまして」の後に続く「どうぞよろしくお願いします」は、「この出会いを大切にして、これから良い関係性を築いていきたい」「これからお世話になります」という気持ちを込めて、使われます。
「どうぞ」にも丁寧に頼みたい気持ちが含まれる
「どうぞ」にも複数の意味と使い方があります。
「どうぞよろしくお願いします/いたします」における「どうぞ」は、「何卒」「どうか」の類語で 、厳密には意味の違いがありますが概ね言い換えが可能です。
この「どうぞ」には、「丁寧にものを頼みたい」「自分の願いを叶えて欲しい」という気持ちが含まれています。
「どうぞよろしくお願いします」と「どうぞよろしくお願いいたします」の違い
「お願いします」は動詞「願う・願い(ます)」に接頭辞「お」が付いた謙譲語です。
動詞そのものではなく動詞性の名詞「願い」とみなす場合もあります。
どちらにしても結果・意味は同じで、接頭辞「お」がついた謙譲の表現です。
そして「いたします」は「します」の謙譲語です。
したがって、厳密に言えば「どうぞよろしくお願いいたします」は二重敬語で「間違った表現」とみなされます。
一方「どうぞよろしくお願いします」は「正確な表現」と言えます。
そうは言っても、「どうぞよろくお願いいたします」はこれだけ広くビジネスの場において使われています。
この現状を考えると、もはや「一般的な表現」として認められていると考えても問題ないといえるでしょう。
「どうぞよろしくお願いします/いたします」を正しく使う3つのポイント
「どうぞよろしくお願いします」「どうぞよろしくお願いいたします」の使い方を解説します。
これらを正しく使うためにも以下の3つのポイントに注意しましょう。
ポイント1:何を頼みたいか意識する
「どうぞよろしくお願いします/いたします」は単なる挨拶ではありません。
「丁寧に相手に何かを頼む、お願いする時に使う」というのが最も基本的な使い方です。
自分は相手に「何を・どのようなことを頼みたいのか」をきちんと考えた上で使用すると、間違いなく適切に使用できるでしょう。
ポイント2:「よろしく」と書く
「よろしく」をパソコンで打ち込むと「宜しく」と変換されることがあります。
そのまま漢字を使用してしまうと間違いになってしまいますので、必ず「どうぞよろしくお願いします」とひらがなで書きましょう。
宜しくの「宜」という漢字は常用漢字表にありますので、漢字そのものを公的な文書で使用する分には問題ありません。
ただし、「読み」は「ぎ」しかなく、「よろしく」はありません。
(例 便宜、適宜 の「ぎ」)
少し固い話になりますが、平成22年「公用文における漢字使用等について」(内閣訓令第1号)によれば、常用漢字表に載っていない漢字は使用することができません。
このことから、「よろしく」を「宜しく」と書かないように注意しましょう。
ポイント3:「いたします」と書く
「どうぞよろしくお願いいたします」の「いたします」も「致します」と書くと間違いです。
理由は、「いたします」は補助動詞だからです。
「公用文における漢字使用等について」(内閣訓令第1号)には(補助動詞等は)原則として仮名で書く、と記載されています。
補助動詞とは、他の言語などで一般的に「助動詞」と呼ばれているものをイメージしていただくと理解しやすいと思います。
英語のwill, do/does などを思い浮かべてみてください。
あくまでも動詞と一緒に使われるものであり、動詞そのものではないので固有の意味を持たない、という性質があります。
そこで、「固有の意味を持つ漢字」は補助動詞には使用せず、仮名表記にするのです。
「どうぞよろしくお願いします/いたします」の例文
「どうぞよろしくお願いします/いたします」の使い方について、様々な場面や相手を思い浮かべながら、具体例を見ていきましょう。
場面別
前半部分では、「どうぞよろしくお願いします/いたします」の例文を幾つか場面別に見ていきます。
引き続きどうぞよろしくお願いします/お願いいたします
「引き続き」や「次も」という言葉が「どうぞよろしくお願いします/お願いいたします」の冒頭にくる場合には、プロジェクトなど何かが継続していて、そのやりとりの最中であることを意味します。
このまま、この調子で、現在進行中のことを続けていきたいのでどうぞよろしくお願いします、という気持ちや希望を相手に伝えることができます。
昨日は参考資料を送っていただきましてありがとうございました。
いただいた資料を活用して、このまま調査を進めていければと思います。
引続き、どうぞよろしくお願いいたします。
その際はどうぞよろしくお願いします/お願いいたします
「その際は」という言葉が「どうぞよろしくお願いします/お願いいたします」の冒頭にくる場合です。
相手とのやり取りの中で未来のこと、近い将来起こり得ることを話している時によく使用されますね。
ビジネスのやりとりで近い将来お世話になることを想定して、そのことについて便宜をはかって欲しい、という気持ちを表します。
いわば「挨拶の先取り」として「どうぞよろしくお願いします」を使用しています。
来月開催される御社のイベントに、弊社の商品を出品させていただくことについて、現在ご担当者様と調整中でございます。
出品することが決まりましたら、その際はどうぞよろしくお願いいたします。
今後ともどうぞよろしくお願いします/お願いいたします
「今後とも」という言葉が「どうぞよろしくお願いします/お願いいたします」の冒頭にくる場合です。
これまでやりとりしてきた案件が一段落し、終了する際にメールの結びの言葉としてよく使用されます。
挨拶の意味合いがやや強い言葉と言えますね。
「今回はありがとうございました。これからもぜひ、このような関係を続けいきたいです。どうぞよろしくお願いします」という気持ちを込めて使います。
特に相手がお客様や目上の方、上司の場合には、積極的に使用すると良いでしょう。
この度は弊社のイベントにご協力下さいまして誠にありがとうございました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
こちらこそどうぞよろしくお願いします/お願いいたします
「こちらこそ」という言葉が「どうぞよろしくお願いします/お願いいたします」の冒頭にくる場合です。
相手から先に挨拶としての「よろしくお願いします」という投げかけがあり、それに対する返事として使用されます。
「いえ、むしろお願いするのは自分のほうです」という気持ちが込められており、「こちらこそ」は決まり文句に近い性質を持ちます。
このやりとりではくれぐれも、「はい、わかりました」などと返事をすることのないように気をつけましょう。
ご丁寧にメールをいただきまして恐縮でございます。
こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。
対象別
ここから後半部分では「どうぞよろしくお願いします/いたします」について、対象となる相手を想定した例文を幾つか見ていきます。
何らかの対応をお願いする相手に対して
何らかの対応を相手にお願いする場合には、「ご対応、どうぞよろしくお願いします/いたします」を使用します。
こちらから既に何らかの問い合わせをしている状況で、そのことについて対応をして欲しい、という依頼の気持ちを含めています。
このように相手から言われた場合には、「ご対応」に該当する何らかの具体的な行動を起こす必要がありますね。
そして行動した後は、その結果どうなったのか、をきちんと相手にフィードバックしましょう。
先日ご送付いただきましたサンプルについて、一部お願いしたものとは異なるものが含まれておりました。
明日到着で返送いたしましたので、恐れ入りますがご対応、どうぞよろしくお願いいたします。
返信してほしい相手に対して
相手に返信してほしい場合には、「ご返信、どうぞよろしくお願いします/いたします」を使用します。
メールでのやりとりの際に、このメールの内容について何らかのお返事をください、と相手に依頼する時に使用します。
はっきり「返信をください」と依頼されているわけですから、前項と同様に、必ず行動を起こす必要があります。
もしもメールに返信しないまま忘れてしまうようなことがあれば、マナー違反でとても失礼になりますので、十分気をつけましょう。
(メールの文末で) お忙しい中恐縮ですが、ご返信、どうぞよろしくお願いします。
検討して欲しい案件を投げかける相手に対して
相手に検討して欲しい案件を投げかける場合には、「ご検討/ご検討のほど、どうぞよろしくお願いします/いたします」を使用します。
何かこちらから依頼したことについて、「ぜひ前向きに考えて欲しいです」という希望・お願いの気持ちを表しています。
言われた方は文字通り「検討」することが必要です。
そのまま放置して何も返事をしないのは大変失礼にあたるので、検討した後はその可否について、必ず返事をしましょう。
少し予算を超えてしまいますが品質がとても良く、長期的に考えるとこちらの品物がよろしいかと存じます。
購入起案を添付いたしますので、ご検討のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
履歴書を送る会社に対して
通常の場合、履歴書そのものには「どうぞよろしくお願いします」を記載することはありません。
志望動機欄に書く方をたまにみかけますが、あくまでも「なぜ御社を希望しているのか」を記載する貴重な欄です。
志望動機欄はその目的のみで使用するのがおすすめです。
ただし、履歴書の送付状の文末に「どうぞよろしくお願いします/いたします」を使用するのは、メール文の結びの句に準じた適切な使い方と言えます。
「どうぞよろしくお願いします/いたします」の言い換え表現
「どうぞよろしくお願いします/いたします」を言い換えた表現には、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、言い換えの表現を幾つか例を挙げながら解説します。
何卒よろしくお願いいたします
「どうぞよろしくお願いします」の冒頭を「何卒」に言い換えると、どのような違いが生じるでしょうか。
基本的にはどちらも同じ意味を持ち、誰かに何かを丁寧にお願いする時に使用します。
使用のポイントは、「何卒」を連発しないことです。
「これだけはどうしても外せない、ぜひお願いしたい」というものについてのみ、使用すると効果的です。
両者の違いを一覧にまとめましたので、参考にしてみてください。
どうぞ | 口 語 | 一般的 | 普段使いで使用可 |
何 卒 | 文 書 | 丁 寧 | ここぞという時に使用 |
どうかよろしくお願いします/いたします
「どうぞよろしくお願いします」の冒頭を「どうか」に言い換えると、どのような違いが生じるでしょうか。
前項と同様に、これらも誰かに何かを丁寧にお願いする時の表現です。
両者の違いを決定づけるのは、前提として「困難な状況があるかないか」です。
「どうぞよろしくお願いします」には前提となる「困難な状況」はありません。
単に自分の希望を丁寧に、相手にお願いしているだけです。
一方「どうか」の場合には、「これは相手に頼んでも難しいだろう。そのような困難な状況は百も承知しているが、何とかお願いしたい」という時に使用します。
意識して使い分けてみて下さい。
どうぞよろしくお願い申し上げます
「いたします」の代わりに「申し上げます」を使用することも多々あります。
文末を「よろしくお願いいたします」から「申し上げます」に言い換えると、どのような違いが生じるでしょうか。
「いたす」も「申す」も、どちらも謙譲語の特別な形です。
「いたします」は「します」の、「申します」は「言います」の謙譲語ですね。
「いたします」には汎用性があり、大抵の場合どのような内容の文章にも使用できます。
一方「申し上げます」には「相手に何かをして差し上げる」という意味が含まれます。
そのため、相手にとって悪い意味を持つ文章には通常使用しません。
例えば「ご不便をおかけいたします」とは言いますが、「ご不便をおかけ申し上げます」とは言いませんので、注意して使用しましょう。
「申し上げます」は便利な表現
「いたします」から「申し上げます」への言い換えについて前項で述べました。
どちらも失礼のない正式な敬語表現ですので、上司をはじめ目上の方に使用することができます。
同様に、特に書面においては、役職や身分を問わず同じように自然に使用することができる、大変便利な表現です。
「どうぞよろしくお願いします/いたします」をビジネスで使う3つのポイント
ビジネスシーンで大変よく使用される「どうぞよろしくお願いします/いたします」について、特にメールで使用する場合の注意点を中心に見ていきます。
ポイント1:メール文では結びの句に使う
ビジネスシーンの、特にメール文で結びの句としてかなりの頻度で「どうぞよろしくお願いします/いたします」は使われています。
使用頻度が高いということは、それだけこの言葉が万能かつ無難であることを意味します。
状況や場面に応じて様々なバリエーションを使い分けられれば、ビジネスパーソンとしてより良い印象を相手に与えられるかもしれませんね。
ポイント2:結びの句を使い分ける
ここまで、「言い換え」や「例文」を一通りご紹介しました。
これらを参考に、必要に応じて適切な結びの句を選び「どうぞよろしくお願いします」の代わりに使用してみて下さい。
具体的には、相手に何らかのアクションを期待する場合には、文頭に使う言葉は「どうぞ」ではなく状況に応じて「ご返信」「ご対応」「ご検討」を選び使用する。
「どうぞ」「何卒」「どうか」を場に応じて使い分ける、などが例として挙げられます。
いつも「どうぞよろしくお願いします/いたします」ではなく、「この場面ではこの結びの句が適切かな」と考えながら、その都度使い分けていきましょう。
ポイント3:漢字表記を使用しない
目上の方や上司にメールを送る場合にも、結びの句として「どうぞよろしくお願いします/いたします」は使用できます。
気をつけたいのは、前述した「漢字表記」に気をつけて「宜しく」「致します」を使用しないことです。
これは相手が目上の方や上司であるかないかに関わらず気をつけたいところですね。
特に目上の方、上司あてのメールでは絶対に間違えないようにしましょう。
また、目上の方や上司からは仕事でご指導を受けることが多々あります。
その場合は「今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします/申し上げます」なども状況に応じて使ってみてください。
「どうぞよろしくお願いします/いたします」への返信方法
ここでは、「どうぞよろしくお願いします」と言われた時の正しい返信方法をご紹介します。
「どうぞよろしくお願いします」と言われたら、「こちらこそ、よろしくお願いします」と返信するのが一般的です。
より丁寧な返信を心がけるのであれば、「どうぞよろしくお願いします」の前に「ありがとうざいます」「とんでもないことでございます」と付けることもあります。
相手が目上の人の時や、感謝の気持ちをしっかり伝えたい時に付けるとより丁寧な印象を与えます。
付けなくても問題はないので、「こちらこそ、よろしくお願いします」を使っておけば一先ず問題ないでしょう。
慣れてきたら場面に応じて変化を加えてみてください。
例えば、何かを依頼されて「どうぞよろしくお願いします」と言われたのであれば、「かしこまりました」と了承したことを伝えます。
もっと具体的に「本日中に◯◯いたします」などと日程などを一緒に伝えるのも丁寧で良いでしょう。
お断りの場合は「申し訳ございませんが、お引き受けいたしかねます」と返信します。
「よろしくお願いします」は丁寧な挨拶なので、こちらが返信する時も丁寧な言葉を使うようにしましょう。
「どうぞよろしくお願いします/いたします」を正しく使いましょう
ビジネスシーンでよく使用される「どうぞよろしくお願いします/いたします」について、理解を深めていただけたでしょうか。
最後にポイントをまとめます。
まず、相手に何かを丁寧にお願いするという意味を持つ事を念頭に置きましょう。
メール結びの句の定番ですが、様々なバリエーションを使い分けるようにすると一層よい印象を得られます。
漢字「宜しく」「致します」は使用せず「どうぞよろしくお願いします」と書くようにしてください。
これらを意識しながら、様々な場面で適切に使用してみてくださいね。