「自尊心が低い」「自尊心を高める」という言葉を聞くことがあります。
そもそも、「自尊心」とは一体どんな意味なのでしょうか。
ここでは、「自尊心」の使い方に、類語や英語表現、低い「自尊心」を高める方法について解説していきます。
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目次
「自尊心」とはどういう意味?
「自尊心」とはいったいどのような意味の言葉なのでしょうか。
なんとなくはイメージできますが、端的に説明するとなると難しいのではないでしょうか。
正しい意味について解説していきます。
自分の人格を大切にする気持ち
まずは「自分の人格を大切にする気持ち」との意味があります。
人格を大切にするとの事ですが、そもそも人格とは何でしょうか。
「人格」とは、「独立した個人としてのその人の人間性」「その人固有の、人間としてのあり方」といった意味があります。
自分という人間を独立した一個人として定義するものである「人格」を大切にする。
すなわち「自尊心」とは自分の事を尊い物と思う気持ちなのです。
自分の思想や言動などに自信を持ち他からの干渉を排除する態度
違う観点でみると「自分の思想や言動などに自信を持ち、他からの干渉を排除する態度」という意味が見つかります。
すなわち「自尊心」とは、自分の思想や言動が優秀な物であるという自信を持つこと。
そして、尊大な態度で他の干渉をはねのける気持ちであるという事ですね。
プライド
「自尊心」には「プライド」の意味も含まれており、英語においても「pride」という英語の意味に「自尊心」が含まれています。
しかし、心理学上では「自尊心」と「プライド」とは別物として使い分けされています。
心理学上での「自尊心」は「自分自身を好きという自信から来る気持ち」です。
それに対し「プライド」は「他人よりも自分を上に、大きく見せようとする気持ち」です。
異なる気持ちとして分けていますね。
心理学上では意味合いが異なる「自尊心」と「プライド」ですが、一般的に使用される場合には同じような意味合いで使われる事が多いです。
「自尊心」の使い方とは
「自尊心」という言葉にはどのような使い方があるのでしょうか。
ここでは、使い方の例をいくつか取り上げます。
自尊心を傷つける
「自尊心を傷つける」「プライドを傷つける」という使い方があります。
例えば、他人から侮辱されたり恥をかかせられたりといった、自分の人格を傷つけられて悔しい思いをした状況を表す言葉として使われます。
自尊心を失う
「自尊心を失う」「プライドを失う」という使い方があります。
先の「自尊心を傷つけられる」に状況は似ています。
ただ単に傷つけられただけではなく自分に自信がなくなった場合。
また、今までの自分の主義主張が全て覆される事によって、立ち直る事が難しい状況に陥った時に使う言葉です。
自尊心を捨てる
「自尊心を捨てる」「プライドを捨てる」という使い方があります。
今まで譲らない思想を持っていたにもかかわらず、その思想を覆したり他人の意見に流された状況になった場合に使われる言葉です。
似た使い方として「自尊心をかなぐり捨てる」「プライドをかなぐり捨てる」などもあります。
自尊心を高める
「自尊心を高める」「プライドを高める」という使い方があります。
自分という人格を大切にする気持ちを現在の状態から、さらに強くする時に使う言葉です。
なお「自尊心」には「上げる」「下げる」という言葉を付けて使うこともできるのですが、「高い」「低い」という表現の方が多く使われます。
例として、「自尊心が高い」「プライドが低い」などと使います。
自尊心が強い・自尊心が低い
「自尊心が強い」「プライドが強い」という使い方があります。
自分自身を大切にする気持ちが非常に強い場合や、自分の思想や言動を尊重している状況を示す時に使う言葉です。
「自尊心が強い」には、相手の思想を褒め称える意味の他に軽蔑する意味も含まれる事が多々あります。
逆に、あまり自分の思想を大事にしない状況の時には「自尊心が弱い」「プライドが弱い」と使うこともあります。
自尊心を慰める
「自尊心を慰める」という使い方があります。
自尊心が傷ついたり失われたりした時に、慰められることによって自尊心を取り戻す時に使われます。
自尊心がのぼせ上がる・自尊心を満たす
「自尊心がのぼせ上がる」という使い方があります。
自尊心が高すぎて、うぬぼれている状態の時や調子に乗っている人に対して、その状態を批難したり揶揄したりする意味で使われます。
逆に、他人を見下す事によって自分自身が優越感に浸る時の「自尊心を満たす」という使い方もあります。
自尊心を育てる
「自尊心を育てる」という使い方があります。
自尊心は、他人によって育てる事が可能です。
例えば子供の自尊心を高める時などに、「子供の自尊心を育てる」という使い方が出来ます。
「自尊心」を育てる方法については、この後の別の項でも説明します。
「自尊心」と「自己肯定感」の違い
「自尊心」に似た言葉として「自己肯定感」という言葉があります。
どちらも英語では「Self-esteem(セルフエスティーム)」と表現されて同じような意味合いとなっています。
この「自尊心」と「自己肯定感」の言葉の違いとは一体何でしょうか。
「自尊心」とは全てを認める心
先に説明した通り「自尊心」とは、自分の人格を大切にする気持ちです。
自分の人格を形成する要素としては、長所だけでなく短所も含まれています。
長所も短所も全ての要素を含めた自分という人格に価値がある、と認めた心が「自尊心」なのです。
「自己肯定感」とは自分を肯定する心
「自己肯定感」とは、自分の良い所すなわち長所を評価することによって、自分自身の在り方を肯定する心を指しています。
例えば「自分は大切な存在である」「自分はかけがえのない存在である」と自分自身で思える心の状態を示しています。
なお、「自己肯定感」の反対語は「自己否定感」という言葉です。
認める範囲が異なる「自尊心」と「自己肯定感」
「自尊心」と「自己肯定感」の大きな違いとは、それぞれの「自分自身を認めている範囲」の違いにあります。
「自尊心」とは長所も短所も全て認めている心であることに対し、「自己肯定感」とは自分を評価するために長所を主に認める心です。
「自尊心」が心の在りようであるのに対して「自己肯定感」とは心の持ちようである、と言えます。
「自尊心」を使った例文を紹介
「自尊心」という言葉をビジネスシーンで使う場合にはどのような方法があるのでしょうか。
ここでは、様々なビジネスシーンで「自尊心」を使う方法を例文として紹介します。
新たな仕事に臨む時
- 彼は自らの自尊心を捨てて、新たな仕事にのめりこんだ。
今までの自分の考え方を全てかなぐり捨てて、新たな仕事を始める時の例文です。
それまでの固定観念を捨てて、新たな気持ちで臨む状況を表すことが出来ます。
仕事が順調に進んでいる時
- 彼は調子に乗りすぎて自尊心がのぼせ上がっているね。
仕事が順調に進み、有頂天になっている時にそれを他人が揶揄する時の例文です。
仕事が順調なのは良いですが、浮かれすぎるのは考え物です。
仕事の失敗を指摘された時
- 上司から受けた失敗の指摘は、彼の自尊心を傷つける。
- 完ぺきな仕事だったはずだったのに、彼の自尊心は失われた。
自信をもって仕事を完了したにもかかわらず、後になってミスが見つかってショックを受けている状況を指す例文です。
失敗に対するショックの度合いとして、「傷つける」よりも「失われる」方が、ショックが大きい状態を表せます。
「自尊心」が高い人と低い人の特徴とは
「自尊心」が高い人もいれば低い人もいますが、その違いについて知っている方は少ないのではないでしょうか。
そこで「自尊心」が高い人と低い人の特徴を見ていきましょう。
自尊心の高い人の特徴4選
まず自尊心の高い人の特徴4つをご紹介します。
自尊心が高い人の特徴① 自分に自信がある
自尊心の高い人は自分に自信を持っています。
自分に誇りを持って生きているので、他人の評価はあまり気にしません。
そのため、心が安定していて、結果的に周りからの信頼も厚い場合が多いでしょう。
自尊心が高い人の特徴② 自由に行動できる
自尊心が高い人は過度に他人の目を気にすることはしません。
そのため、自分が必要だと感じれば、積極的に行動ができます。
他人の目を気にせずに、自分のやりたいように行動できるのです。
自尊心が高い人の特徴③ 自分の意見を持っている
自尊心が高い人は、自分の意見をしっかり持っています。
自分に自信があるので、発言の場でも自分の意見をはっきりと言えるでしょう。
だからといって、自分の意見が絶対であると、うぬぼれているわけではありません。
自分の意見を伝えながら、相手の意見もしっかりと聞く。
このバランスが大切です。
自尊心が高い人の特徴④ 人間関係を上手く築ける
自尊心が高い人は自分自身をしっかり持ち、芯の強い人が多いです。
そのため、人間関係も充実している人が多いでしょう。
周りを引っ張っていけるカリスマ性のようなものがあります。
みんなを引っ張っていきたい、トップに立ちたい、と思っている方は自尊心をしっかり高めておく必要があります。
自尊心の低い人の特徴5選
続いて自尊心の低い人の特徴5つを紹介します。
自尊心が低い人の特徴① 他人と自分を比較する
自尊心が低い人は、つい自分と他人を比べてしまいます。
しかも自分に自信がないので、どうしても自分よりも他人の方を高く評価してしまいます。
そして、更に自信を無くしてしまうという悪循環に陥るのです。
自尊心が低い人の特徴② 承認欲求が強い
自尊心が低い人は、自分で自分の価値を認めることが出来ないため、自分の価値を他人に認めてもらおうとします。
例えば「他人に褒めてほしい」とか「他人から認めてもらいたい」などと他人からの承認に対する欲求が強いのです。
自尊心が低い人の特徴③ 周りの意見に流されやすい
自尊心が低い人は、自分の意見など価値がないと考えてしまいます。
そのため自分の意見が批判されて自尊心を傷つけるくらいならと周りの意見を優先してしまいます。
自然と他人の意見に流されることが多くなってしまうのです。
仮に自分の意見があったとしても、やはり他人の意見が良いように見えてしまい、自分の意見を変えてしまう事も多いのです。
自尊心が低い人の特徴④ 精神的に不安定になりやすい
自分に自信が持てないという事は、足元がしっかりしていないという事です。
そのため常にふらふらしている状況にあります。
他人の言動に一喜一憂してみたり、急に落ち込んでしまったりと精神的に不安定になりやすいのです。
自尊心が低い人の特徴⑤ 人間関係を上手く築く事ができない
人と人との関係は、お互いの価値を認め合う事で良い関係を築けるものです。
ですが、自尊心が低い人はすでに自分自身の価値が認められない状況です。
そたため、他人からも価値を認めてもらう事がなかなかできず、その結果良い人間関係を築くことも出来なくなってしまうのです。
「自尊心」を高める方法!
「自尊心」が高い人と低い人の特徴がわかりましたね。
自尊心が低い方は自分に自信が持てないことから積極性がなくなり、全てに対して消極的になってしまうものです。
人とのコミュニケーションも消極的になると、人脈を築くのもむずかしくなり、生活をしていく上で得となる事は何もありません。
「自尊心」が低い方でも「自尊心」を高くすることは出来るのでしょうか。
「自尊心」は育てられる?
そもそも「自尊心」を高める、すなわち育てることが出来るのでしょうか。
結論から言いますと、育てることは出来ます。
自尊心が低い方は、子供の頃に受けた周囲の人達からの評価が原因で、自己肯定感が低い状態にある場合が多いです。
例えば容姿や成績を他の子と比べられて、劣っていると知らしめられると、自分に自信が持てなくなることが多いです。
子供の頃に戻る事は出来ませんが、大人になってからでも自分に自信を持つことは出来ます。
自尊心を高める方法① 不完全な自分を受け入れよう!
自分を過小評価する人は、心の中に「理想的な自分」を持っていることがあります。
この「理想的な自分」と「現実的な自分」を比較してしまい、「現実的な自分」の悪い所をつい見つけては自身を過小評価してしまうのです。
これを避けるためには、まず「現実的な自分」を現状で問題はない、これで良いのだと認めるところから始めましょう。
欠点のない人は世の中にいません。
少しくらい欠点があっても、むしろそれが自分の良い所だと認めるようにしましょう。
自尊心を高める方法② 楽観的になろう!
ちょっとした失敗をしたり、過去の失敗を引きずったりコンプレックスを抱えたりすることで、自分の価値を下げてしまう事もあります。
ですが、誰しも失敗はしますし、大なり小なりコンプレックスを抱えているものです。
過去の事は過ぎた事、笑い話にしてしまいましょう。
くよくよ悩んでいてもどうしようも無い事の方が多いのです。
であれば、それらは気軽に受け止めて楽観的になってみましょう。
常にポジティブに物事をとらえるようになることで、徐々に自尊心も育っていくものです。
自尊心を高める方法③ 人付き合いを見直そう!
普段付き合っている人の中には、自分の欠点ばかり指摘する人や常に怒ってばかりの人、まったく褒めてくれない人など、自分の自尊心を傷つける人はいませんか。
世の中には、残念ながら他人を傷つけることで自分を優位に立たせようとする人もいるのです。
人からのマイナス評価を常に受けている環境では、自尊心は低くなるばかりです。
ネガティブな発言をする人とはきっぱり分かれてしまいましょう。
ポジティブな発言をする人と積極的に付き合う事により、自分も自然にポジティブな思考に変わっていきます。
ポジティブな思考は自尊心を育てることが出来るのです。
自尊心を高める方法④ 感情を素直に表現しよう!
自尊心が低い人は、自分の感情を表現すると他人に馬鹿にされ、自尊心を傷つけるのではないかと恐れて表情が少なくなる事があります。
ですが、それでは他人が感情を判断する事が難しくなり、良い人間関係を築くのも難しくなってしまいます。
喜怒哀楽の感情は、素直に表現しましょう。
表情が豊かな人は、周りからの評価も自然に上がります。
結果、自分の自尊心も育てられるのです。
自尊心を高める方法⑤ やりたい事をやろう!
自尊心を傷つけるのが怖くて、他人の評価を恐れたり自分がやりたい事を我慢してしまったりする事もあるでしょう。
ですが、それでは、自分の中にストレスが溜まってしまって精神的にも不安定となってしまいます。
それを避けるために、まずはやりたいと思う事を他人の評価を気にせずにやってしまいましょう。
言いたい事も言いましょう。
ストレスを発散する事で、自分の行動や発言に自信を持つ事も出来ますし、その発言や行動に賛同する人達と良い人脈を築くことも出来るのです。
「自尊心」の類語・英語表現
「自尊心」にはどのような類語があるのでしょうか。
また英語での表現方法はどのような物があるのでしょうか。
ここでは「自尊心」の類語や英語表現を紹介します。
自尊心の類語【他人が評価する表現】
「自尊心」の類語には「自負心」「プライド」があります。
「自尊心」が高い状態を他人が評価する表現には以下の類語が挙げられます。
- 「貫禄」
- 「気品」
- 「気位」
自尊心の類語【他人から揶揄される表現】
一方で自尊心の類語には「自尊心」が高い状態を他人から揶揄される表現もあります。
以下の類語が挙げられます。
- 「自惚れ」
- 「虚栄心」
- 「慢心」
自尊心の英語表現
次に自尊心の英語表現を紹介します。
「自尊心」の英語表現として「self‐respect」「pride」「proud」があります。
例文を参考に使い方を学びましょう。
「self-respect」の使い方
まず「self-respect」の例文から紹介します。
「self-respect」は以下のように使用します。
- Why don’t you have more self‐respect?(なぜもっと自尊心を持たないのか?)
- hurt a person’s pride(人の自尊心を傷つける)
「proud」の使い方
「自尊心」の別の英語表現として「proud」の使用方法も見てみましょう。
「proud」は以下のように使用します。
- He’s poor but proud. (彼は貧しいが自尊心がある)
「self-esteem」の使い方
また「自己肯定感」と同じ意味の「self-esteem」があります。
以下の様に使用しましょう。
- depriving one of self-esteem(誰かの自尊心を奪うこと)
「self-worth」の使い方
自分自身を尊敬する様を表す英語表現としては「self-worth」も使用可能です。
以下の様な使用方法があります。
- bloated self-worth(膨れ上がった自尊心)
「自尊心」を養って豊かな生活を!
ここまで「自尊心」について解説をしてきましたがいかがでしたか。
どんなに「自尊心」がある人でも、何かのきっかけで「自尊心」を傷つける事もあるかと思います。
その時には、この記事で紹介した「自尊心」を育てる方法を試してみて下さい。
自尊心を育て養う事で、心の幸福を手に入れて豊かな生活をお送りください!